四 暮色蒼然
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条件があるんだが…」
そこで一端、ナルトは言葉を切った。
「一つは、顔を見られる前に相手を昏睡させること。試験受験者以外の部外者だとバレたら不味いからな。二つは、音・木ノ葉・砂の忍びには手を出すな。黒と白が反応しても、これらの忍びの場合は見逃せ。」
彼の言葉を反芻した二人は、面倒な条件に嫌気がさしながらも、しぶしぶ承諾した。
「…殺さなきゃいいんだな?」
「それで…集め終わったら、どうやってナルトさんに渡せばいいんですか?」
「俺が二人の許へ行く。…頼んだ」
白と再不斬の去り際に、ナルトは一言声をかけた。
「…それから、草忍の髪の長い奴には気をつけろ…」
疑問を返すことなく、黒白の蝶にせかされて二人はかき消えた。
気配が完全に消えたことを確認した少年の姿もまた、音も無く消える。
人がいたことなど微塵も感じさせないその場には、不自然な百合が咲き誇っていた。
夕闇が迫る。
密集した森林に、僅かながらも差し込んでいた日差しが、ますます狭まっていた。
闇の世界へと同化しつつある林は、僅かの日光により山吹色へ染まる。
そんな中、木立の合間を全力で疾走する人影があった。
(まずい…っ。早く見つけないと…ッ!)
強張った表情で死の森を駆けるのは、中忍第二試験官みたらしアンコ。
彼女は、先ほど見つけた三体の死体から犯人をすぐに推測したため、柄にもなく焦っていた。
三体の死体の内一人は、試験が始まる直前、アンコが投げたクナイを返してきた草忍。
(あの時、既に入れ替わっていた!?…死体から顔を奪う術…【消写顔の術】。それができるのは、間違いなくアイツ…ッ)
暗部の出動を要請しておいたが、彼らが来るまでには己が時間を稼がなければ…そしてできることなら引導を渡してやる…忌まわしき過去に決別を。
(…それがあなたの部下だった…)
「私の役目よね…大蛇丸」
「無理よ」
静かに紡いだアンコの言葉に、大木から返答が返ってくる。
木と同化していた人物が、するりと彼女の前に現れた。
「【潜影蛇手】!」
アンコは、目前の人物―大蛇丸に向かって攻撃を仕掛ける。無数の蛇が大蛇丸に襲い掛かるが、大蛇丸は笑顔を絶やさない。それどころか、余裕の表情でアンコを木に叩き付ける。
しかしアンコとて負けずに体勢を入れ替えた。彼女はクナイを取り出し、己の手の甲と大蛇丸の手のひらを木に縫い付ける。
「へっ、捕まえた!…いくらアンタでも片手だけじゃ印を結べないでしょ!!」
勝利を確信し笑みをみせるアンコに、後方から絶望の声が響く。
「…影分身よ」
目前の大蛇丸が白煙になると同時に、背後の本体が印を結んだ。途端に、アンコの首筋を激しい痛みが襲う。
全く歯が立たない実力差。
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