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渦巻く滄海 紅き空 【上】
二 幕開け
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げる。
「ボクは、カブト。それより辺りを見てみな」
「辺り?」
カブトの言葉に、サクラは恐る恐る辺りを見渡す。
すると、すぐ傍にいる、四本の縦線が刻まれた額当ての忍び達がこちらを睨んでいる。
「君の後ろ…アイツらは雨隠れの奴らだ。気が短い。試験前で皆ピリピリしてる…どつかれる前に注意しとこうと思ってね」
気の短い奴らの視線に、押し黙ってしまったサクラ達を見て、カブトは苦笑した。
「ま!仕方ないか…右も左も分からない新人さん達だしな、昔の自分を思い出すよ」
「カブトさん…でしたっけ…」
「ああ…」
「…じゃあ、あなたは二回目なの?」
「いや…」
サクラの問いに、カブトは首を振った。
「…七回目。この試験は年に二回しか行われないから…もう四年目だ…」
「へー。じゃあこの試験について色々知ってんだ…!?」
「まあな」
カブトは少し誇らしげな表情を浮かべると、忍具ポーチから数枚のカードを取り出した。
「へへ…じゃあ、可愛い後輩にちょっとだけ情報をあげようかな。この認識札でね…」
聞き慣れない忍具に、サクラが首を傾げて尋ねる。
「認識札?」
「簡単に言えば、情報をチャクラで記号化して焼き付けてある札のことだ」
そう言いながら、カブトは数十枚の認識札を床に置いた。
「この試験用に情報収集を四年もかけてやった…札は全部で200枚近くある」
彼は一枚の札をクルクルと回転させ、チャクラを注ぎ込む。
「…何やってるのー?」
「見た目は真っ白だけどね…この札の情報を開くにはー」
すると、軽い破裂音と共に白煙が撒き上がった。
「ボクのチャクラを使わないと、見ることが出来ないようになってる…例えばこんなのがある…」
認識札からは、隠れ里の位置などの地図が棒グラフとして立体的に浮き出ている。
「今回の中忍試験の総受験者数と総参加国、それぞれの隠れ里の受験者数を個別に表示したものさ」
認識札に興味をもったのか、サスケが尋ねる。
「…個人情報が詳しく入ったものはあるのか…?」
「フフ…気になる奴でもいるのかな?」
さも当然であるかというように、カブトは口角を上げた。
「勿論、今回の受験者の情報は完璧とまではいかないが、焼き付けて保存している。君達のも含めてね。その気になる奴について、君の知ってる情報を何でも言ってみな…検索してあげよう」
「木ノ葉のロック・リーって奴だ」
サスケが口にした名前は、中忍試験会場に向かう途中で、彼が負けてしまった相手であった。
「なんだ、名前までわかってるのか…それなら早い」
すぐにカブトは一枚の認識札を引き出した。
「見せてくれ」

ロック・リーの情報に、サスケ達は耳を傾ける。
聞き終わったあとの彼らの表情は、少々強張っていた。
「木ノ葉・砂・雨・草・滝・音…。今年もそれぞれ
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