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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Development
第二十二話 すれ違い
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紫苑は、箒が話す理由を理解はしても納得はしなかった。それはどこか、嘘に塗り固められた上辺だけのものに感じた。
 そんな中、一つの可能性に思い至りカマをかけたのだが、再び紫苑の言葉を遮り箒が叫ぶ。もはや、最初は努めようとしていた敬語など影もない。ましてや彼女は今紫苑に、手にしていた竹刀の先を向けて威嚇すらしている。

「……これ以上くだらないことに耳を貸すつもりはない。それ以上口を開くなら……」

 その先は口にはしなかったが、眼と手にした竹刀が物語る。力づくでも黙らせる、と。
 仮にも武の道を修め、同世代の極みに達した彼女が安易にその力を振るうことに、紫苑は若干の怒りと失望を覚えた。

 彼はこの一年間で、ISを通して力の使い方というものを考えさせられてきた。ISは近年ではスポーツとして見られることがあるが、紛れもない兵器である。それは身をもって経験している。
 その気になれば、容易に人も殺せるし専用機持ちが数人いれば国すら落とせる。だからこそ、力の使い道は何より注意しなければいけないし、それが出来ない人間にISを操縦する資格はない。

 剣に対して、幼いころから努力を続けて頂に立った箒に対して紫苑は尊敬の念を覚える。しかし、鍛えられた刀も鞘を失い、抜身のままでは周囲の人間を、そして自身すらも否応なく傷つける。それが紫苑には許せなかった。

「……私に失言があったのなら謝ります。ですが、その竹刀でどうするつもりですか?」
「く……う、うるさい」

 箒も、冷静になれば自身の行いが褒められたものでないことくらいは理解できる。しかし一度抜き放った刀は容易に納めることはできない。

「力を持つ者は、その使い方を考えなければいけません。ましてやあなたは……」
「黙れと言っている!」

 そして、行き場を失った感情は暴走する。手にした竹刀を振り上げ、そのまま何も考えずに振り下ろしてしまう。一般生徒が相手なら危険な一太刀、それほどまでに鋭く疾い一撃だった。
 しかし、紫苑は一般生徒ではない。いくら鋭くても、ただ振り下ろされただけの一撃を避けることなど造作もないことだった。紫苑は、鍛錬中も使用し今も手に持っている竹刀で箒の一撃を軽々といなして見せる。

「なっ……!?」
「感情の行き場がないのなら……いいでしょう。私がお受けします」

 あっけなく自分の一撃が避けられたことに驚愕する箒に対し、紫苑も竹刀を構える。
 すぐに箒もその意味を悟り、構え直す。

「はあぁぁ!?」

 動いたのは、やはり箒。
 先の一撃とは違う、自身の普段通りの力を込めたはずの一撃。だが、届かない。力は込めても想いのないその一撃は、紫苑にとってあまりに軽い。
 これも同様にいなしてその竹刀の切っ先を首元につきつける。お互い防具をつ
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