Development
第二十二話 すれ違い
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相手の力量どころか、自分の立場を認識していない一夏に対して、紫苑は少なからず危機感を覚えるのだった。そして、そう感じたのは紫苑だけではなかった。
「う〜ん、想像以上に元気な子のようね。直接会ったわけじゃないから分からないけど、もし外部組織から狙われたら力不足のまま特攻しそうね」
そう切り出したのは楯無。
「生徒会としては、1年1組の織斑一夏と篠ノ之箒両名を最重要の護衛対象とするわ。次点として各専用機所持者……これはもちろん生徒会メンバーも含まれるけど。まぁ、あなた達はできるだけ自分の身は自分で守ってね」
「あぁ、わかってる」
「了解ッス〜」
彼女の言葉に、ダリルやフォルテも続く。紫苑と虚は静かに頷いた。
そして本音は……横に座っているフォルテのケーキを食べていた。
「あぁ!? ウ、ウチのケーキが……」
「残ってから食べちゃったよ〜?」
「あんたもウチから奪うんスね!? さっきの言葉は撤回するッス! それに悪気が感じられないない分フィーより性質が悪いッスよ!?」
フォルテの叫びが室内に響いたが、いつものことなので気にする者はいなかった。
場の空気はフォルテのむせび泣きを境に雑談へと切り替わる。
そんな中、紫苑は再び思考を織斑一夏へと向けていた。
(う〜ん、できれば早めに接触したいけどきっかけが欲しいな。別のクラスの、ましてや悪い意味で目立ってる僕が理由もなしに会いに行ったらそれこそ目立ってしまう。僕はともかく、織斑君からしてみたら好ましいことではないし、警戒させてしまうかもしれない)
だが、意外にもその機会はすぐに訪れることになる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はっ!」
新学期が始まり早数日。紫苑は半ば日課となっている放課後の道場での素振りを行っていた。
このところは先の約束通り、千冬も彼に付き合っていたのだが彼女も教師である以上いつでも一生徒にばかり付き合うというわけにはいかず、この日は一人となっていた。だが、わずかの時間とはいえ千冬の指導を再び受けることができたのは大きく、すっかり動きは休学前のものを取り戻している。
そんな折、彼にとっては予想外の者が道場を訪れる。
「……! あなた……は」
「! 篠ノ之さん?」
その予期せぬ来訪者は、篠ノ之束の妹、篠ノ之箒だった。
予想外……というのはあくまで紫苑にとってである。もともと剣道の中学生チャンピオンであった箒がこの場にいることは何の違和感もない。むしろ周りからすればお嬢様然とした紫苑がここで剣を振るっていることのほうが不自然に感じることだろう。
「失礼しました、道場は一応、織斑先生の許可を得て使用していますので。申し遅れましたが1年4組の西園寺紫音です」
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