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第二十二話 すれ違い
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という付き合いの長い二人がいる。うまく本音の言葉を拾い上げ言い直すことでその場の全員が、何があったかを知ることができた。
それによって紫苑らが知った事の顛末は以下のようなものだった。
まず休憩時間にセシリアが一夏に声をかけ、自身が代表候補生であることを理由に彼の指導を申し出るも、断るどころか代表候補生の意味すら知らずにクラス中を呆れさせる。セシリア自身はそれを馬鹿にされたと感じたらしく、言い合いに発展しそうになるも担任である千冬がやってきたためその場は事なきを得る。
しかし、その後クラス代表を決める段になり再び争いの火種はあがる。
立候補する者がいない中、他薦でも構わないとの千冬の言葉にクラス中がなんと一夏を推薦したのだ。それに対してセシリアは異議を唱える。
クラスで唯一の代表候補生であり、学年主席であったセシリアは当然自分が選ばれると思っていた。……それならば何故立候補しなかったのか、と疑問はあるが恐らく彼女のプライドが許さなかったのだろう。
だが、その後に続いた言葉がよくなかった。一夏個人に対する言葉ではなく彼女は『島国』や『文化後進国』など日本を侮蔑する発言をしてしまった。
そして、売り言葉に買い言葉、一夏もイギリスを罵倒する。『世界一不味い料理の国』と。
生徒会の人間はその一連の流れを本音から聞いて呆れるばかりだった。
そもそもセシリアの発言は矛盾している。ISの開発者の篠ノ之束は日本人であり、謂わば日本はIS発祥の地だ。そのISの代表候補生という立場にいる人間が日本を卑下する発言をするのはお門違いだ。
そして、いくら侮蔑されたとはいえ自身が同じ立場で言葉を返すのであれば、一夏も同罪である。
結局、クラス代表はその場で決まらず後日に模擬戦で決めることになったという訳だ。本来であれば稼働時間が数分しかない一夏が代表候補生で主席であるセシリアに勝つ可能性など微塵もないのだが、無知とは怖いものである。一夏はセシリアにハンデをつけるとまで言ってのけた。これにはさすがにクラスメイトも呆れ返り一夏を諌めると、彼も気まずそうに言葉を撤回していたのだが。
「はぁ……」
その猪突猛進ぶりに紫苑は思わずため息を漏らす。
相手の実力を正確に測れるかというのは実戦では生死を分ける。実戦経験がほとんどない紫苑ですら、そのことは身をもって知っていた。そう、亡国機業との邂逅によって。
あのとき紫苑は、直前のやり取りと容易に組み伏せることが出来たことで相手を完全に見誤っていた。結果、彼はその身に風穴を開けることになる。
ましてや、一夏は紫苑と違い世界的にその存在を知られてしまっている。亡国機業が目をつけないはずがない。いや、それどころか世界中が何らかの手段を用いて彼に接触する可能性がある
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