一 嵐の前の静けさ
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は、彼らが慕っている少年とあまりにも似通っていたのだ。
「ナ、ナルト様……?」
「ナ、……んなわけねーだろ。あいつは男だ。それにこんなバカ面じゃねぇ―」
「バ、バカ面ってなんだってばよ!」
木の葉丸を助け起こした金髪少女―波風ナルは、初対面に失礼なことをいう二人につっかかろうとした。
その時、ヒュッと飛来してきた小石が、ナルと多由也達の間にカツンと音をたてて跳ね返った。
「よそんちの里で何やってるんだ、てめーは」
傍の木の上から聞こえてきた声に、その場の者が一斉に見上げる。
木の枝には、小石を弄ぶように手の中で転がしている黒髪の少年の姿があった。
「失せろ」
「きゃー、さすがサスケ君かっこいい〜!」
高圧的な態度をとる黒髪の少年―うちはサスケに、春野サクラは歓声を上げる。
(サスケ…こいつが?)
(大蛇丸様の器候補…)
器と必要以上に接触するのは現段階では早すぎる。
そう判断した二人は、「中忍試験会場に来れば、嫌でも顔を合わすことになる」といった言葉を残して、その場から消えた。
尤も、多由也と君麻呂がその場をすぐに離れた理由の大半は、傍の木の上で隠れている忍びの視線が煩わしかったからである。
「どう思う?」
着衣に『死』という不吉な文字を縫い付けてある男が、顔面を包帯で覆っている男に尋ねた。
「まあ…大した事無いけどさ…木ノ葉の忍びは…。それより多由也と君麻呂がいたことに驚きだよ…」
「あの人達が来るなんて聞いてないわよ」
長い黒髪の少女が眉を顰めながらそれに答える。
三人の額には、多由也と君麻呂と同じく『♪』の印が刻まれた額あてが締められていた。
「なんにせよ、中忍試験。楽しみだよ」
「――――――過小評価するな、と言った筈だ」
「すみません……」
鬱蒼とした森の中で、人の声が響く。
巨木に囲まれた大木の幹の上には、木陰と共に三つの人影が映っていた。
「大体、再不斬も再不斬だ。死ぬ一歩手前になるくらいなら命を優先しろって、前に俺言ったよな」
「…悪かった」
少年の批判の声に反論することもなく、大柄な男の影が身を縮ませる。
「で、でも、よくあの状況で僕たちを助けられましたね」
大柄な男―再不斬を見るに見かねて、一瞬女性かと見間違う端整な顔立ちの少年―白が間を取り持つ。
「ああ、簡単なことだよ。白が腹に穴空けられる寸前に、俺の影分身に変化させただけ。再不斬も同様。二人の死体も影分身だよ。ま、あんまりチャクラ練り込まなかったから、地中に埋められて二週間くらいしか保たないと思うけど」
(十分凄い(ですよ))
白と再不斬は心中同じことを思ったが、口には出さなかった。
彼の力は未知数だ。
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