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東方虚空伝
第二章   [ 神 鳴 ]
二十八話 諏訪の行方…
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っ取り早い、と思うだろうけど実際は違うよ。一度、大和が始めて国を奪った時にそこで信仰されていた神を殺したんだが、驚いた事に逆にその神に対する信仰が強くなったんだよ。あの時は参ったね、その後信仰を得る為に費やした時間と労力は計り知れない。それからは侵攻した国の神は大和の建てた神社に封神として祀る事になっている。そう今まで通りならね…」

 神奈子は説明の最後に何か含ませる様な事を言う。違うんだ、諏訪子の処遇は今までとは。どうして、と思う私の脳裏に以前お父様が言っていた言葉が蘇る。

『諏訪の国の信仰ってなーんか他と違うっていうか変わってるっていうか不思議な感じなんだよね。なんていうの根深いって言えばいいのかな?』

 私は見ては居ないが諏訪子は最後に祟り神としての本性をさらけ出して戦ったらしい。そのせいで戦場跡は死の土地になっているそうだ。
 もし諏訪子に対する信仰の根源がそんな死の土地を生み出す祟り神からきているのだとすればこの国の人々は素直に大和の神を信仰するだろうか?いやしないだろう、そんな事をすれば諏訪子に祟られる、と本当に思っている確率が高い。
 そんな諏訪子は大和にとっては生かしている方が不都合なのではないか?神奈子のあの含みのある言葉もそれを言っているんじゃないのか?そんな事を考えていた私に唐突に月詠が声をかけてきた。

「紫だったか、その顔からして私達が言いたい事は分かったようだな。どうする?何かいい案があるのなら聞くぞ?無いのなら……分かるな」

 月詠は探るような嫌らしい笑みを浮かべながら私にそう問いかける。このままじゃ間違い無く諏訪子は消される。
 折角お父様が助けたのにそれじゃぁ意味が無い。スキマで逃がす?ダメだ諏訪子が生きている限りこの問題は解決しない。そうなれば大和は草の根分けてでも諏訪子を探し出して消しにかかるだろう。
 考えろ、考えろ、諏訪子を救う方法を、大和を納得させる案を、どうすればいい?どうすれば……こんな時お父様ならどうするだろう?お父様なら……きっと屁理屈で通すだろう。滅茶苦茶でもそれっぽい事を言って何となく納得させる筈だ。
 そして私の脳裏に一つの案…と言えるかは分からないけど、とりあえず考えが浮かんだ。上手くいくかは分からないけどやるしかないのだ、諏訪子の為に、そして諏訪子を守りたいお父様の為に。

「……一つ提案があります」

ここからは私の戦いだ。
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