第二章 [ 神 鳴 ]
二十八話 諏訪の行方…
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「ああぁぁぁぁぁッ!!!!!」
「諏訪子様!御静まりください!傷に障ります!どうか!どうか!」
慟哭にも聞こえる雄叫びを上げながる諏訪子に早希は必死にしがみ付き懇願していた。今の諏訪子でも早希位なら簡単に振り払える筈だがそんな事をすれば早希が怪我をする。どうやら荒れてはいても理性は働いている様だ。
そして私は改めて早希に視線を戻す。ルーミアの話によれば楓の死を聞いた後も恐らく一睡もしないで諏訪子の介抱をしていたらしい。あの二人は喧嘩ばかりしていたが互いを大切にしていたのは私にだって理解できる。
それなのに泣きもせず巫女としての責務を必死にこなす彼女に――――普段の馬鹿さ加減からは予想も出来ない早希の強さに私は初めて尊敬の念を抱いた。お父様がいないというだけで私はこんなにも不安だというのに。
「あの裏切り者ッ!!裏切り者ッ!!裏切り者ッ!!裏切り者ッ!!裏切り者ッ!!」
諏訪子の口から出るのは恐らくお父様に対する怨嗟。隣りを見るとルーミアも複雑な表情を浮かべていた。
お父様した事は確かに裏切りに見えるが実際は全ての責を自分で被り、諏訪の神達の身の安全を確約させただけだ。でも今の諏訪子に何を言っても無駄だろう。
「何だ?ここは客が来ても対応もしないのか?」
突然庭の方からした声を確かめる為ルーミアが庭側の障子を開ける。そこにはスキマから見た覚えがある人物、確か八坂神奈子と黒髪の女が立っていた。その二人にルーミアが、
「他人の家の庭に勝手に入ってくる奴を客とは言わないわよ?」
と皮肉ると黒髪の女はカラカラと笑いながら、
「おお!すまない、一応玄関で声をかけたのだが返事が無かったものでな。勝手に此処まで来させてもらった」
「……あんた誰?何の用?」
女の登場で落ち着いたのか抑揚の無い声で諏訪子が問いかけた。
「私は月詠、まぁ大和の代表だ。神奈子の事は分かるな?用件は諏訪のこれからを話し合う為だ。因みに嫌とは言わさん」
月詠は鋭い視線を諏訪子に注ぐが諏訪子の返答は全員の予想を裏切るものだった。
「………好きにすれば、あたしの知った事じゃない……」
「「「「「 はっ? 」」」」」
その場に居た諏訪子を除く全員が唖然とした。好きにしろって?何を考えてるの!
「洩矢あんた自分が何を言ってるのか分かってるのかい?」
若干の怒りを込めながら神奈子は諏訪子にそう問いかけるが、
「五月蝿いッ!五月蝿いッ!五月蝿いッ!五月蝿い!ッ五月蝿い!知った事じゃないわよ!もうあたしの国じゃ無いんだからあんた達の好きにすればいいでしょ!!勝手にしなさいよ!!!」
突然そんな風に叫ぶと早希を振り切って部屋から走り去ってしまった。
「諏訪
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