第二章 [ 神 鳴 ]
二十八話 諏訪の行方…
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な」
探るような視線を僕に向けながら月詠は話を続ける。
「迅速に行動するのは洩矢の傷が癒えるまで待つ気が無いからだ。あれの傷が癒え再び荒御霊に堕ちてもらっても迷惑だからな、手負いの今ならもし反抗してきても私一人で殺せる。小賢しい貴方がそこを理解出来ない訳があるまい」
月詠の言う通りだ。手負いの今なら諏訪子が暴れても楽に制圧できる。月詠の実力は分からないけどたとえまた荒御霊になったとしても殺すのは容易だろう。
「しかし意外に冷静だな。洩矢を殺す、と聞いて約束が違うと反論すると思っていたんだがな」
月詠は本当に意外だという風にそう言い僕の表情を探るように見つめる。
「反論も何も神奈子との取引はあの戦の中での事だし、戦が終わった以上僕の交渉材料は無くなっているからね。今後の話し合いの席で諏訪子が暴れて殺されたとしてもそれはしょうが無い事だよ。それに今の僕には何も出来ないしね、反論したって無意味でしょ?」
僕はそう言ってへらっと笑って見せた。
「…まぁいい、とりあえず貴方に言う事は以上だ。何も出来ないとは思うが大人しくしていろ。あぁそれと念の為に須佐之男のアホを監視に付けさせてもらうからな」
そう言い残し月詠は部屋を出て行く。監視なんて付けても意味無いよね、僕は自分の手を拘束している錠を見ながらそう思った。
「月詠様も言ったが大人しくしてなよ?それと伝言の件だけど何かあるかい?」
部屋の入り口で神奈子が振り向きながら僕にそう聞いてきた。
「う〜ん、…あぁそうだ向うに紫って言う名前の金髪の女の子が居るはずだから「僕の事は心配しいらない」って伝えてもらえるかな?」
「分かったよ、それじゃね」
神奈子は短く答えると部屋を後にする。そして再び一人になった部屋で僕は、
「……そういえばご飯ってもらえるのかな?あとこの壊れた壁ってちゃんと直してもらえるんだよね?」
そんな独り言を呟いた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
スキマの維持をしていた私は限界をむかえ気を失ったらしい。目を覚ました時には戦は終わっており私を介抱してくれていたルーミアからお父様が捕虜になったと聞かされた。
お父様の事だからきっと大丈夫と自分に言い聞かせ、翌朝これからの事を諏訪子に聞きに行こうとルーミアと共に諏訪子の部屋に向かうと部屋の中からけたたましい音が響き、諏訪子と早希の怒声とも悲鳴ともつかない言い争いの様な声が聞こえた。
襖を開けると部屋の中は滅茶苦茶になっていて全身包帯だらけで息を荒げている諏訪子の腰に早希が泣きながらしがみ付いていた。たぶん諏訪子が目を覚ますと同時に暴れて早希が必死に抑えたんだろう。
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