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東方虚空伝
第二章   [ 神 鳴 ]
二十八話 諏訪の行方…
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「誤解です!勘違いです!大間違いです!」

「そういえば僕、戦の最中に神奈子に口説かれたな」

「あの台詞をどれだけ前向きに解釈すれば口説き文句に聞こえるんだいあんたは!」

「遂に神奈子にも春が来たか♪よし今夜はお赤飯だな!」

「だから違うと言っているでしょ!」

「……あーワリーけどそろそろいいかツク姉、あと神奈子も。話進まねーから」

 そんな風に僕等三人が騒いでいるとなんとも言えない微妙な顔をした須佐之男が声をかけてきた。

「おお!すまんすまん、本題を忘れるところだった」

 女性はカラカラと笑いながら僕の前にやって来る。

「自己紹介が遅れたな私は月詠、このアホの姉で天照の妹だ。本国に帰った姉に代わりこの地方の責任者を任されている」

 月詠は親指で須佐之男を指しながらそう言った。

「アホは酷くねーかツク姉」

 月詠の言い分が気に入らないのか須佐之男が反論するが、

「…ああん!アホをアホと言って何が悪い!“自称”大和最強の闘神様は姉一人満足に護衛出来なかったじゃないか!何が『姉貴の事は心配すんな!俺に任しとけって!』だ!姉上にあんな怪我をさせておいてよくもまぁ……一遍死ねボケナス!!」

 感情が高ぶったのか月詠は須佐之男に目にも留まらぬ高速の蹴りを放ち、その蹴りが右脇腹を直撃した須佐之男は「ぐへっ」と言う声を上げながら凄まじい勢いで小屋の壁に叩き付けられそれを破壊し大和の陣の方に鞠みたいに何度も跳ねながら飛んで逝った。
 そして遠くの方で、

「何だ今の音は!「一体何が「誰か倒れているぞ!「す、須佐之男様!「敵襲か!「出合え!出会え!・・・

 などと言う声が聞こえてくるが――――まぁいいか。

「それで月詠、本題って言ったよね?僕に何か話があるの?」

「話と言ってもそこまで重要な事じゃないけど、一応貴方に言っておこうと思ってな」

 飛んでいった須佐之男の事など気にも留めず最初から居ませんでした、みたいな空気になっているけどまぁいいか。
 月詠は置いてあった椅子をひきそれに腰掛けると足を組み話を始めた。

「私達はこれから諏訪の都に今後の方針の話し合いに行く、とそれを伝えに来ただけだ。何か伝言があるなら預かるぞ」

「……随分急ぐじゃないか、昨日の今日だよ?もっとゆっくりしなよ」

 やたら行動が迅速だ。まぁ理由は理解できるんだけど。僕の言葉に月詠は一瞬キョトン、とした顔をしたがすぐに笑みを消し目つきを鋭くした。先程までの人懐っこい笑みとは真逆の、例えるなら獲物を狙う獰猛な猛禽類の様顔をしている。

「…理由が分からない、という訳ではないだろう。こんな状況でもまだ何か画策しているのか?戦の状況は聞いているぞ、貴方は相当に小賢しいと
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