第二章 [ 神 鳴 ]
二十八話 諏訪の行方…
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コンコン――――扉を叩く様な音に僕の意識は急速に現実に引き戻される。
ゆっくりと瞼を開けた先にあるのは、
「……知らない天井だ、って大和の捕虜になってたんだっけ」
此処は大和の陣地に立てられた広さが十畳程の木製の小屋だ。机と椅子が一組、僕が横になっていた寝床があるだけの質素な内装。僕の服も質素な白の長袖とズボンで手には力を封じる錠がかけられている。
まぁそれはともかくさっきの夢?は諏訪子の記憶かな。
コンコン――――再び扉を叩く音が響いた。誰が来たかは分からないけどとりあえず返事をしておこう。
「は〜い、入ってまーす」
扉を開き入って来たのはなんだか呆れたような顔をした神奈子だった。
「……あんたね、なんだい今の返事は。まぁいいか、しかし暢気だね今起きたのかい?」
神奈子はすこし呆れ気味に笑いながらそんな事を言ってくる。まぁ僕が暢気なのは何時もの事なのだが。
「ちょっと疲れが溜まってるんだよ。昨日さ美人の神様に締め上げられたり、柱で叩かれたり、雷落とされたり、光弾で滅多打ちにされたり、最後には槍まで投げつけられたんだよ?酷いと思わない?」
僕の返答に神奈子は再び呆れの表情を浮かべた。そして、
「…奇遇だね、実はあたしも昨日おかしな人間モドキに蹴られたり、十字に斬られたりしたんだよ?酷いと思わないかい?傷が残ったりしたらどうしてくれるんだろうね?」
神や妖怪の傷は時間さえあれば完治するので痕が残る事は無い。神奈子なりの嫌味なんだろうな、っていうか誰が人間モドキだ。
「うん大丈夫だよ、責任持って婿に行くから!」
「なんで婿入り!こういう時は普通“嫁に貰う”だろ!」
「あぁそうそう話は変わるんだけど…」
「勝手に話を変えるんじゃないよ!」
「婿入りでも問題ないと思うんだ」
「全く話が変わってないじゃないか!!」
神奈子とまるで漫才みたいな事をやっていたら突然女性の笑い声を上げながらが部屋の中入ってきた。
「アハハハハハッ!なるほどなるほど、中々に愉快な奴だ!」
天照に顔と背格好がよく似た子で、栗色の瞳で黒髪のロングツインテール、桃色の薔薇柄の膝上ミニスカートになっている黒のフリル着物ドレスを着ている。
「神奈子、お前が気に懸けるからどんな奴かと思えば…こんなに面白い奴だとはな!」
女性は悪戯っぽく笑いながら神奈子の肩をポンポンと叩く。
「月詠様、あたしが何時こいつを気に懸けたと言うんですか?」
神奈子は女性に憮然とした表情を向けながら反論している。
「隠すな隠すな、分かっているぞ。戦場で激しくぶつかり合いそして軍神である自分を倒した初めての男に、こう心がときめいているんだろう?」
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