Development
第二十一話 不安と希望
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に嬉しく思う。友達になってほしいと言うと、彼女たちも本当に嬉しそうにしてくれた。その笑顔を見るだけで先ほどまでの不安な気持ちが和らいでいった。
……途中から『お姉さま』と呼ばれ始めた時には顔が引き攣ったけど。楯無さんあたりに聞かれたら間違いなく弄られる……なんとか修正させないと!
先約があるので、彼女らの話もそこそこに生徒会室へと向かう。
「なんだ、ニヤニヤして。朝は死にそうな顔をしていたくせに。クラスでうまくいったのか?」
「ち、千冬さん!?」
「織斑先生だ」
急に声をかけられ、慌てて振り向くとそこには千冬さんがいた。思わず名前で読んでしまい、出席簿で軽く叩かれる。考えてみれば、こういうやり取りも随分久しぶりでなんだか顔がニヤけてしまう……っていうかさっきまでの僕はそんなにニヤけていたんだろうか。
「……織斑先生」
「あぁ、ちょっと話がある。用事があるようだから5分で済ます。付き合え」
こちらの事情を理解したうえでのごり押し、独裁者は今年も健在のようだ。彼女は今年も山田先生と一緒に1年1組を担当している。つまり、織斑君のクラスだ。弟のクラスの担任になるのは普通の学校ではどうかと思うけれど、重要人物を守る位置に最強戦力を置くのは間違ってはいない。
相も変わらず強引な千冬さんに連れられ、僕は宿直室で彼女と二人きりになった。
「悪いな、紫苑。話というのは……一夏のことだ」
扉を閉め、部屋にだれもいないことを確認すると千冬さんが切り出す。僕の名前を出したということはプライベートということだ。この部屋は防音防諜がしっかりしており、千冬さんと秘密の話をするようなときはたまに使っていた。
「織斑君のこと?」
「あぁ、私が言うのもなんだがアイツは馬鹿だ。今日も事前学習が必須と言っておいた参考書を電話帳と間違えて捨てたとぬかした。それに、運動神経などはそこそこあるがISは素人だ。……それでも周りは待ってはくれん。一秒でも早く強く、自分の身を守れるようになってもらわねばならん」
彼が狙われる理由なんていくらでもある。男性操縦者であることはもとより、千冬さんの弟であること、専用機の存在もある。どこまで情報が漏れているかわからないけど、この彼の専用機は当然ながら束さんの手が入ることになる。そうしないと動かせないのだから。となると当然……スペックもおかしなことになりそうだ。
それにしても電話帳と間違えて参考書を捨てるってどういうこと。そしてそんなこと千冬さんの前で言ったら地面にめり込む勢いで出席簿を叩きつけられるんじゃないか。彼は果たして生きているのだろうか。
「そこで、だ。お前も機会があったらあいつに稽古をつけてやってほしい。もちろんクラスが違うし、お前も自分のことで大変だとわかっているんだ
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