暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第32話 『だからこそ』
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は不機嫌そうに彼に顔を近づける。目の下のクマのせいか少し威圧感があるが、彼は動じることなくお弁当に手をかけた。



「シャマル、ちょう顔近いで」
「……え、あ、すいません」


 はやてに柔らかく注意を受け、コタロウに頭を下げて座りなおす。
 そして、彼が包みを解くのを見守った。
 彼は蓋を開けようとする。


「あっ」
「どうかなさいましたか?」
「い、いえ……なんでもないです」


 シャマルは自分の作ったものが唐突に心配になり、思わず声をあげてしまったが、コタロウが自分の方を向くと引きさがる。
 また彼は蓋に手をかける。


「あうっ」
「どうかなさいましたか?」
「……な、なんでもないです」


 また同じ行動が繰り返された。
 再び蓋に手をかける。


「あぁっ」
「どうかなさいましたか?」
「……なんでもないです」


 またまた同じ行動が繰り返された。コタロウは3回も同じことが起こるとさすがに不思議に思うところがあり、口を開こうとするが、


「ムゥ! なら、リインが開けるです〜!」
『……あ』


 2人に隙を与えず、リインが蓋を開いた。その瞬間、シャマルは顔を覆う。


「……ちゃんとしたもの、です」


 その顔を覆っている間、それを気になる人たち――シャマルの料理を見たことある人全員――が身を乗り出してそのお弁当の中身を見る。どうやら、開ける前から気になっていたらしい。


『……普通だ』


 シャマル自身、事前に味見をしていたと言っていたが、それでも心配だった彼らはそのお弁当を見て、外見が変哲ないことに驚いた。
 中身は地球では、ほぼ一般の家庭で食べることのできるものが入っていた。
 主食はご飯で、おかずである副食、菜食は少しバランスは悪いが、唐揚げ、卵焼きと備え付けのようなサラダと品数は十分である。シャマルは『普通』という言葉で多少安心して顔を出した。


「あとは味、だな」
『うむ』


 シグナムとザフィーラはヴィータに頷く。
 何対もの目がコタロウの右手を注視し、


「いただきます」


 口に入れ――この時点で表情に変化はない――飲み込むのを見守った。
 シャマルの顔はそれでも歪む。コタロウは飲み込んだあと、彼女のほうを向き、


「おいしいです。前回の料理と比べ、ずっと」
『……お、お〜〜』


 数人が声を漏らしたが、シャマルにはすでに聞こえていなかった。


「ほ、本当ですか!?」
「はい」
「本当に、本当ですか?」
「はい」
「本当に、本当に本当?」


 最後にもう一度彼が頷くと、曇天(どんてん)が突然快晴になったかのようにシャマル
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