暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第32話 『だからこそ』
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くもない消え入りそうな声で問いかけると、彼は目を細めて僅かに顎を上げた。


(え、あれ? わ、私、変なこと聞いたのかな?)


 心が不安定な時、自分の口に出した言葉が相手に思考を与えてしまうと、心を覗かれたような気持ちになり、フェイトは思わず顔をコタロウのほうへ向けてしまった。
 彼は彼女がこちらを向いたのに合わせて、彼もそちらを向き、彼女に不快感を合わせないよう、目線だけをやや下に向ける。


「そのような感情は必要ありません」
「……え、どういうことですか?」


 先ほどと同様の声量で答えたコタロウに対して、フェイトは今の彼の答え方が、声量は別として、あの模擬戦を思い出させる抑揚のないものだったので、緊張と不安で高まった熱は一気に引き、なのはたちにも届くやや低い声で訊ねてしまう。


「ん?」
「どうしたんだ?」


 彼女たちが振り向くと、コタロウは彼女たちのほうを向き、口を開く。


「テスタロッサ・ハラオウン執務官が『お弁当を貰うことは嬉しいか?』とご質問をされたので『そのような感情は必要ありません』と申し上げました」


 それは淡々と録音された音声を再生しているかのように淀みがない。


『……何でですか (何でだ) ?』


 なのはは驚いたが、ヴィータはまだ彼に対する情報が足りないというように落ち着いていた。






「あ、なのはさーん!」


 スバルは彼女たちがこちらへ歩いてくるのに気付くと大きく手を振って呼び掛けた。エリオやキャロもそれに合わせて、少し背伸びをして手を振っている。
 そして、なのはたちが自分たちのところまで来た時、コタロウが弁当箱を持ちながら額を抑えていることに首を傾げた。


「あの、ネコさんどうしたんですか?」
「ん、あぁ、あたしが愛機(アイゼン)で軽く引っ叩いた」
『…………』


 原因が分からず、スバルたちはなのはへ視線を向ける。


「……えっと、ね……」


――『そのような感情が働いてしまうと、お弁当の味を正しく評価できません』
――『よし、とりあえずその弁当をフェイトに渡して(デコ)を出せ……』


「……あの、つまり……味をきちんと評価することが本来の目的なので、お弁当を貰うということについては特に何も思ってなかったと?」
「はい」
『……はぁ』


 全員がため息をつくと、スバルは頬を掻きながらコタロウの方を向き、


「じゃ、じゃあネコさんは、その、味の評価なしでただ単純にお弁当を貰うことに対しては、嬉しいんですか?」
「はい。大変嬉しいです」


 彼はこくりと頷く。
 味を評価することを第一に考えていたので、貰うことに対しての感
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