暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第29話 『季天鋏』
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その後ろからは白地が見え、三色が上半身を彩っていた。胸元には蛇の目に六角形の装飾があしらわれている。そして、激しい運動にも耐えられるよう、黒い
襷
(
たすき
)
が隻腕でも器用に交差していた。
『…………』
和傘によく似合っている。
確かに、このようなバリアジャケットはここミッドチルダではみない服装であるが、特に彼が恥ずかしがるような格好ではない。
「別に、ねぇ」
「珍しい格好ですけど……」
「よく似合ってますよ?」
スバルたちは口々に感想を述べ、周りも同意を示す。
セットアップを完了した時点で、彼は鼻筋より上を覆う黒曜石のような鈍い光を放つ顔の輪郭を取った一見仮面ともとれるバイザーをしており、目は完全に隠れてしまっていた。おそらく、彼からは見えるが自分たちからは見えない作りになっているのだろう。
それのみが、少し異質を放っていた。
「いえ、格好ではなく……」
彼は背中を向けるとそこには、
『困った時の機械ネコ
ネコは尻尾に語りかけ
尻尾はネコにのみ命を告げる
そして運命はネコに微笑む
常にかわらぬ貴方の親友より……』
という言葉がミッドチルダの言語で円を描いて書かれていた。中心部には横を向いた黒ネコが振り返りながら自分の尻尾斜め上を見つめているマークが大きく貼り付けられ、円の外側にはドライバー、スパナが左右に平行で添えられている。
かなり人によって感想が分かれるデザインであり、どうやらコタロウにとっては恥ずかしいほうに傾く
代物
(
しろもの
)
であるらしい。
『(……答えにくい)』
フェイトも感想は控え、「それでは始めましょうか」と地上を離れた。
コタロウは、またカラコロンと音を出しながら建物から飛び降りると、途中足元に格子状のエアロゲルをつくりだし、弾性力をふんだんに使って高く飛び上がっていった。彼女と同じ高さになって1人分の地面を作り、カラコロンと着地する。
ここで初めてシグナムが口を開いた。
「主、カギネ三士の実力をご存じで?」
「ううん。知らん。けど、『
Quad
(
クアッド
)
・
S
(
エス
)
の
天魔使
(
てんまし
)
』のトラガホルン夫妻がいるわけやし、弱くは無い、と思う」
『Quad・Sの天魔使!?』
周りも初めて聞く情報である。話題としてはなのはと同様に有名であり、姿は見たことはないが、その異名だけは局内でも知らぬ人がいないくらいである。唯一知らない若いエリオとキャロだけはティアナから局内の有名人であることを教えてもらう。
「あのお二方が? 異名名高い……」
「2人ともな、
SS
(
ダブルエス
)
なんよ。アコース査察官から直接な」
「確か、入局
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