暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第29話 『季天鋏』
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ティア。私、ネコさんについて考えるの止めようと思う]
[奇遇ね。でも多分、また考えるわよ。人間ってそういうものだから。今日のところは考えるのをやめるってことでいいんじゃない?]
[あの地球での夕食の時も、結局考えないと決めたのに、考えてますよね、現在]
[うん]


 スバルたちが念話をしている間に、コタロウはフェイトにルールを説明していた。
 それは特に難しいことはなく、傘の耐久性と防護性、および操作性の確認のため、攻撃するのはフェイトだけで、コタロウ自身は防衛のみであるというものだ。
 彼は一切攻撃を行なわない。


「わかりました」
「それではよろしくお願いします。空戦、陸戦もそちらに合わせます」


 再度彼女は頷き、先ほどのバリアジャケットのままふわりと空を飛ぼうしたとき、ふと、彼の服装がつなぎのままであることに気が付いた。


「コタロウさんはバリアジャケット、着ないんですか?」
「…………」
「あ、いえ、無ければそれでいいんですが……」


 コタロウはフェイトに目を合わせ、数回瞬きをした後、


「――ッ!!」


 2歩、3歩と引き下がった。顔も幾分か上気している。


「き、着なければなりませんか?」
『(動揺してる!?)』


 六課にいる面々が初めて見る光景だ。瞳も僅かだが震えていた。
 しかし、それは幻覚であるかのようにすぐに元の無表情に戻る。


「は、はい。安全の為、着たほうがいいと思います。その、どうかしたんですか?」


 全員の代表として、フェイトが先ほどの表情の理由を聞く。
 対する彼は、いつもの表情ではあるものの、淀みのない口調ではなく、


「わ、私のバリアジャケットは恥ずかしいのです」


 おずおずとぎこちがなかった。
 それでもフェイトに着用を要求されていたので、彼は傘の先端を地面につけ、


「セットアップ」


 彼の周囲が光りだした。






『…………』


 靴に類するものであれば、(かかと)から接地する歩き方をすると、カツカツと固い音がする。しかし彼の足音は少し違い、


――カラコロン


 小気味良い音が鳴り響いた。
 スバルたちにとっては見たことのない姿で、なのはたちにとっては和傘と同様に見たことのある姿であった。
 知る人の表現を借りるのであれば、彼の履いている履物は足の2本生えた『下駄』と呼ばれるもので、『足袋(たび)』も履いている。『仁・義・礼・智・信』を意味する五つの折り目を付けた黒い『馬上袴』を履き、上半身は紅緋(べにひ)の『羽織』をはおり、中も同じ色の織物を着ている。袖口等の端部分は無患子(むくろじ)の種の色をしており、
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