暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第29話 『季天鋏』
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、何か透明で球体状の物体が浮かび上がっている。彼は手を返すと、それは重力に逆らうことなく緩やか落下し、地面に触れた瞬間にゼリーのように形が歪む。そしてそのままゆっくりと跳ね返り、また彼の手のひらに落ち着いた。
「何ですか、それ?」
「エアロゲルです。99.9%が空気で残りの0.1%が水の物質です」
スバルは手にとってみると、なんとも柔らかいゴムのようでスライムのようでもある不思議な感触だ。ティアナたちも手に取ってみると何とも形容しがたい感触であった。
興味本位から他の人にも回され同じ感想をもつ。
「まどろっこしいのなしだ。これ、
稀有技術
(
レアスキル
)
なのか?」
「いいえ? ただ単に空気中の水蒸気に魔力制御で空気を送り込んで密度を減らしただけです」
「だけですって、お前……」
ヴィータが試しに空気中の水蒸気を魔力で収集し、そこに空気を送り込もうとするが安定はしないし、目に見える状態で出現しない。魔力制御に
聡
(
さと
)
い、なのはたちがやってみても結果は同じだった。
「いや、無理だろ。できねェよ」
「訓練次第だと思います。『水分子』と『水分子』の間に自分の『魔力分子』を――」
「ちょっと待て」
途端に、エアロゲルは制御を失いシャマルの手の中で雲散した。
「水分子と魔力分子ィ? お前、魔力素子を制御できるのか?」
「皆さんも魔力素子を使用してバリアを展開しています」
物質を扱うとき、例外に漏れることはなく、これ以上分割することのできない素子を使用する。例えば鉄板をつくりたいのであれば、鉄の素子を集めて生成する。魔力によるバリアの場合は、魔力素子を集め、結合して堅固な防御壁をつくりだす。
この魔力素子の量こそが、その人本人の魔力量となるのだ。
管理世界はこの魔力素子の利用と、人体にある魔力の源であるリンカーコアの発見により、今まで感覚的に使用していた魔法をほぼ科学に近い形で確立させた。質量保存の法則を無視したように錯覚するのはこの魔力素子を取り扱うからである。
「んなもん、感覚と意思で作れるだろ」
「はい。なので、魔力素子で分子を制御する感覚です」
「ちょっと待ってくれるか? ということは、コタロウさんは魔力で分子間結合制御ができるということか?」
それに近いことであるとコタロウは頷いた。
ジャニカとロビンはこのことを知っているのだろうかと思うはやてはその疑問を即座に打ち消した。知っている知らないという問題ではない。はやてたちがほぼ感覚と想像、意思によって生成しているバリアの類を粒子単位で完全に制御下において操作している事実のほうが問題である。
「まさか、デバイスを酸化させたりもできたり?」
ぞくりと全員
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