暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第29話 『季天鋏』
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当初話題になった人だよね?」
「せやね、その後2年くらいでぱたりと噂を聞かんようになったなぁ」
「私が怪我をした時だから……8年前、だね」


 スバルたちが入局当初は既に活躍の話しは聞かなくても、時々話題に出てくる人たちである。これほど近くにいるとは思わなかったと内心驚いた。
 そのなか、シャリオはふと頭に1つの共通点を見出す。


「……傘の制作開始年、ですね」
『…………』


 気付けばまた、彼に対して思考を巡らせている彼らがいた。
 はやてはこれはまずいと思ってか、シャリオにフェイトとコタロウがよく見えるようにモニターを展開させる。展開したのは複数で、見た目だけでなく、体内の魔力分布や体温、気圧など色々な角度から見ることのできる特徴ある画面だ。これで、魔力の動きなどを観察することができる。
 そこでシャリオは、コタロウの周辺気圧だけが違う事に気が付いた。


「……嘘」
「どないしたんや?」
「コタロウさんの周囲約1pの気圧が異常に低いです。高度およそ3500m級」
「今やったんか?」
「わかりません。ただ、あの地点に着いた時の魔力差分を見ても反応差が見られないという事は、普段から常時使用していると考えるのが普通かと……うわっ、下がりだした!」


 その気圧を一定にしていたのかと思いきや、急激に10000m級まで下がり、そこで彼の周辺気圧は安定した。その間、はやてたちも魔力反応を察知できた。
 バリアジャケットには本来、空気圧の防護も備えられているが、おそらく彼の場合は機能を一時的に解除しているのだろうとはやてたちは決定づける。
 そろそろとティアナたちもシャリオに近づいてモニターを見た。


「……そういえば、想定される限りのあらゆる『季』節と『天』気を操作できる機能が付いとるって言うてたな」
「『季天鋏(きてんばさみ)』機能ですね」


 『季天鋏 (seather(シザー) scissor(シザー)) 』という機能があると食堂でシャリオが話していた。はやてが言った通りの機能で、別名『気象布の裁ち鋏』と名を打ってあった。
 名前と概要以外は、魔力操作の独自理論が展開されており、修正に次ぐ修正が幾重にも張り巡らされていたため、彼女では理解できなかった部分である。
 今、空中にいるフェイトは彼の魔力反応は察知できたが、彼に対して一見どこにも変化が見られずにいた。


「それでは、使用者(わたくし)コタロウ・カギネの高度約10000mの超高高度を想定した酸素欠乏状態における、傘『潦《にわたずみ》』の試験運転兼動作確認試験を実施します」
「……え?」


 彼は相手の動揺を無視し、発言を続ける。


「試験協力者であるフェイト・テスタロッサ・ハラオウ
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