9夢
[8]前話 [2]次話
「てことで、ノイズキャンセルさんお願いします」
「その呼び方止めろっつーの」
「後でドイツ語の参考書をあげます」
「……仕方ねーな」
ふぅ、姫の情報が役に立った。
姫の二番目の兄のことを、私たちはノイズキャンセルと呼ぶ。
彼は私たちの中学、私と姫の部活のOBであるためよく部活に顔を出す。
けど、その度にウォークマンのノイズキャンセル機能を使って私たちの声を聞こえないようにするのだ。
そこで、私たちの副部長がノイズキャンセルなんてあだ名をつけてしまった。
本人絶賛否定中のそんな彼は、とあるアーティストの影響でドイツ語にはまっているらしい。
姫なんてリボーンの影響でイタリア語にはまってたし、兄弟って似るもんだね。
ま、それはさておき本題。
「姫がいなくなってから今まで、お母さんに怪しいところってありましたか?」
「母さんに?」
うーんと少し考えた後、あっと声を出した。
「あいつの死体発見した張本人って母さんらしいんだけど、その話し方がやけに嬉しそうだったっつーか」
嬉しそう?
それは、私が感じた違和感とだいぶ一致する。
あの人はやっぱり、この事件に関係してるのかな?
結論がまとまらないまま時間だけが過ぎていき、気づいたら外は真っ暗で、私たちは街灯の照らす道を歩いていた。
「あー、どうしよ」
「ねぇ、ウチに泊まってかない? 話もしたいし」
獄寺夫人(笑)の提案。
明日は土曜日だし、いいんじゃないかな!
ってことでお泊まり反省会(?)。
のはずだったんだけど、すぐに眠り込んでしまった。
*
私たちは走っていた。
何で走っているのか、それはそこに階段があるから。
じゃなくて、フラン狩り。
何でフランを追いかけてるのかはよく分からないけど、捕まえなくちゃいけない気がした。
「獄寺夫人! 急いで!」
「何でこの真剣なときにそれで呼ぶのかな!?」
するっとフランがとある一室に駆け込んだ。
その後を追って私たちも駆け込む。
けれど、そこには何もなかった。
ただの真っ暗い空間。
そして、二人一緒に落ちていった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ