暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第27話 『それは秘密』
[10/13]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
うことができる。
嬰児
(
みどりご
)
は、育てる人、大人たちの会話を聞きとることによって言葉を身につけることができるのだ。
だが、それはおかしい。彼は大人だ。彼らに出会うまでに会話をしていないわけがない。現に普段
畏
(
かしこ
)
まってはいるが、会話は成立している。
ヴィータは思考の為に引いた顎を上げると、
「ヴィータ三等空尉は上官の命令に頷くとき、その遣り取りを『会話』とするかい?」
「或いは、上官に報告するときの遣り取りを『会話』としますか?」
「…………」
2人に遮られるも、その質問に即座に応えることができなかった。
命令を受け取る人間は相手が上官である限り、感情なく頷くしかない。そうしなければ、それこそ『言う事を聞かない
部下
(
やつ
)
は、使えない』というレッテルを貼られかねない。
報告も同様であり、事実のみを話す場であって、私情を話すものではない。
命令や報告に私情を挟むものであれば、それが
解
(
ほつ
)
れとなり、冷静を欠いた歪んだ結果を招きかねない。
命令や報告に感情を挟まないのが、物事を円滑に進める大前提である。
だが、もし命令や報告に感情が入り、なおかつそれで物事が円滑に進めることができる場合があるとすれば、それは両者間に信用、信頼が成立しているときだ。
ヴィータは寒気を覚えながら、彼らの言う『会話』というものが自分の感情や思いを乗せたものであることが分かると、嫌な考えが脳裏をよぎる。
容易に想像できるのだ。あの寝ぼけ眼の男がどこかの管理世界で、命令に反抗することなく頷き作業に取り掛かる姿を、完了後に報告を行ない信頼を築く間もなく次の現場へ出向される姿を、今日までの彼を見て違和感なく想像できる。
そうすると、意識しないのに思考が彼女の中を占領し始める。
(待て、よ。コタロウの入局はなのはと同じ、9歳の頃……9歳の頃、から、そんな命令に頷き、報告をして、また、次の現場へ行く? いや、あいつがジャニカさんやロビンさんと出会ったのは何時だ? いやいや、何時からあいつはこの人たちと親しくなったんだ? いやいやいや! 何時までコタロウはそんな暮らしをしてたんだ? 入局前は? 待、て……そもそ、も、あいつの家族や他の仲間、友達、は?)
しかし、隣でイスの引かれる音がしたところで、催眠術が解けたように我に返った。
驚くようなしぐさでコタロウを見るヴィータが、すこし顔を歪ませていたので不思議に思い、彼は訊ねる。
「ジャン、僕がいない間にどんなことを話したの?」
「ん〜、コタロウにとっては何でもない事さ」
「何でもなく……」
思わず席を立って、声を張り上げそうになるが、言葉も出なければ立ちあがることもできなかった。
彼女は気付いたのだ。
(…
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ