暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第2章 『ネコは三月を』
第27話 『それは秘密』
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わった。だが、それはヴィータが入局当初に覚えた不快を表すものの1つで、人間が自分の信念を曲げて上官に媚び
諂
(
へつら
)
う行為は、普段彼女の周りにいる人間の顔をも歪ませた。この時も、ヴィータは真っ直ぐロビンに、
「『演じる』というのは好きじゃ無ェ、です」
と、言い切った。ロビンは
訥々
(
とつとつ
)
とその理由を話す彼女に耳を傾け、打ち明けた後、視線を逸らそうとするヴィータの膝の上にちょこんと置かれている小さな握り
拳
(
こぶし
)
の上にそっと手を添えて、
「貴女は本当に良い方々に恵まれているのね」
逸らすことを許さない。
「それは普段貴女が、良い環境にいるために感じる違和感にすぎないわ。でも、もし自分に幅を持たせるものがそこにあるなら、自分を成長させる機会がそこにあるのなら、演じる価値はあると思いますよ? 貴女はもう、上に立つ人間なのですから、善し悪しは自分で決められるはずです」
自分の判断力をもって、メリットのあるモノを吸収してく人間であると彼女は言う。そして、媚び諂う人間に目を向け、思考を深くする必要があるかと問う。答えが既に見えている問いは、ヴィータに自信を付け、評価される言葉は彼女の心を改めさせた。
だが、いざ演じるということを決めても、ホテルに着いてトラガホルン夫妻が注目を集めだすと――ヴィータとコタロウも集めている――ぐるぐると目を回しそうになった。
ホテル・アグスタは土地そのものも買い取っているホテルで、レストランもいくつかのグレードに分かれている。その中でも、今回予約しているレストランは余程の幸運に恵まれない限り、最低でも1カ月は待たされるところで、席に付いている人たちは、相応の人であることが見た目から判断できた。
今回はコースとしての料理は頼んでおらず、一品一品自分で選ぶ形式の『ア・ラ・カルト』を夫妻は採用しており、ヴィータにリストからメインディッシュを中心に
小前菜
(
アミューズブッシュ
)
、
前菜
(
オードブル
)
、スープ、口直し、デザート、コーヒーを念話で懇切丁寧に促した。分からない事は素直にウェイターに聞くことも教える。
例えば、
「魚のほうが好きなのですが、お勧めはありますか?」
といったごく単純なものだ。ロビンたちは何も言わず、ウェイターが常に微笑みを変えず説明していくのを聞き、ヴィータはコースを決めていく。途中、分からない事があった時は、リストを手にしている薬指をピクリを動かし、念話で伝え、疑問を回収していった。
全ての料理を頼み終わり、トラガホルン夫妻が無言で頷くのを見て、初めて緊張が解け、念話の利用性を再確認した。
「それでは、お飲み物はいかがなさいますか?」
「白を2つ」
これは、ジ
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