暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第23話 『想念、昊の如し』
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。私、ティアナたちの感情を思った気持ちでいたんだ。相手の声を聞かず、私の思いを隠し、表情や雰囲気だけから相手を理解したと勘違いしてたんだ)
自分の両親が言ったことが今理解できた。
(ちゃんと聞くように……ううん、もっときちんと声を聞く努力をして、少しでもお互いが理解できるように思いを張り巡らせればよかった。確かに、見るだけ、感じるだけで、近道、
横着
(
おうちゃく
)
してた)
スバルの拳を、ティアナのクロスミラージュを素手で受け止めても痛みなんて感じなかった。
「頑張っているのは分かるけど、模擬戦は
喧嘩
(
けんか
)
じゃないんだよ」
(……違う、私が言いたいのはこんな言葉じゃない)
自分の言っていることと考えていることが一致しないという事はよくあり、なのははその状態に
陥
(
おちい
)
っていた。
「練習の時だけ言う事しているふりで、本番ではこんな危険な無茶するんなら……練習の意味、ないじゃない」
(お願い私、こんな頭ごなしじゃなく――)
傾いた感情を戻すことは容易ではない。
「ちゃんとさ、練習通りやろうよ」
(ちゃんと、落ち着いて……)
分かっていても止められない。
「あ、あの――」
「ねぇ、私の言ってること、私の訓練、そんなに間違ってる?」
(押し付けるんじゃなく――)
まるで自分の体が何かに操られているように、口が動いてしまう。
<解除します>
クロスミラージュのナイフが消え、ティアナはなのはから距離をとる。
(なのはさんの言っていることが間違っているなんて思わない)
「私は、もう、誰も傷つけたくないから!」
(そう、私は誰も傷つけたくない)
蔽
(
おお
)
って隠してきた彼女の感情が、なのはのなにか諦めたような表情を見ることによって爆発した。今まで溜めこんできた疲労が身体もろとも制御できなくなってしまったのだ。
もう一度彼女は魔力の装填を行なう。
「無くしたくないから!」
(あんなミスするようじゃ、今度は私が大事な人を――)
脳裏に兄ティーダが生きているときにみせた最期の笑顔を思い出す。
(無くしてしまう!)
発した言葉と思いが一致する。
「だから、だから私は、強くなりたいんです!」
「少し、頭冷やそうか」
(お願い、やめて)
なのはが願っても、自分の行動は止まらず、指先に魔力を込めてティアナに向ける。
「クロスファイヤー――」
「うわァァ、ファントムブレイ――」
(私はただ、強くなりたくて……)
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