暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第22話 『掩蔽、雲の如し』
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んちゃしちゃうんだ』


 ホテル・アグスタから戻った新人たちは今日の実戦もあり、夜の訓練はなくなって、ティアナは個人練習に励みながら、現場でなのはに言われたことを反芻していた。



――『でもね、ティアナは1人で戦っているわけじゃないんだよ?』


 精密射撃の練習は動きを最小限に保たなければならないため、下半身はほぼ固定され、疲労も著しい。



――『集団戦での私やティアナのポジションは、前後左右全部が味方なんだから。その意味と今回のミスの理由、ちゃんと考えて同じことを二度と繰り返さないって、約束できる?』


 射撃の標的は彼女の周囲に展開され、日が落ちても練習できるよう、銃口が正常に向けられれば点灯するものだ。


(確実に、確実に――くっ)


 限界に達したのか足が震え、力た抜けてへたりと座り込んでしまった。


(まだだ。こんなんじゃ)


 拳を握って大腿を一発殴り、立ち上がり再び構える。


(もう、一度――)

「4時間も続けてるぞ、いい加減にしたらどうなんだ?」

(ヴァイス、陸、曹?)


 十分だろうと手をたたいて、ティアナの注意を引く。


「見てたんですか?」
「コタロウさんと一緒にヘリの整備中、スコープでちらちらとな」


 彼は腕を組んで言葉を選ぶと、


「ミスショットが悔しいのは分かるけどよ。精密射撃なんざ、そうホイホイうまくじゃあない」


 近くの木に寄りかかって、がしがし頭をかく。


「無理や詰め込みで、ヘンな癖つけるのもよくねェぞ」


 ヴァイスの面倒見のよさを知っていても、今の彼女には少し鬱陶(うっとう)しい。
 そして、その雰囲気は十分にヴァイスに伝わった。


「――って、昔なのはさんが言ってたんだよ。俺ァなのはさんや、シグナム姉さんたちとは割と古い付き合いでなぁ」
「……それでも、詰め込んで練習しないと、うまくならないんです。凡人(ぼんじん)なもので」


 話を無理やり打ち切るために、ヴァイスに背中を向けて、再び銃を構えた。


「凡人、か。俺からすりゃあ、お前は十分に優秀なんだがなぁ。(うらや)ましいくらいだ……」


 彼女はもう話をするつもりはないらしく、ヴァイスは息を吐く。


「ま、邪魔する気はねェけどよ。お前等は身体(からだ)が資本なんだ。体調には気を使えよ」
「ありがとうございます。大丈夫ですから」


 しばらく、ティアナは彼のほうを向かずに訓練を続けていると、いつのまにか気配は消えていた。


(少しでも、無理をしないと。少しでも、詰め込まないと、追いつけない。『あの時から』決めたんだ)


 『あの
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