暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第22話 『掩蔽、雲の如し』
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アです」


 ユーノはこの会場に招かれた事の感謝の言葉と、微力ながら尽力いたしますと一言述べ、司会者にマイクを戻した。


「アコース査察官もなかなか――」
「意地が悪いと思います」


 はやて、なのは、フェイトにとっては(うれ)しいサプライズであるものの、どうも相手に一枚上手というところを見せつけられているようで、納得がいかないかった。


「意地が悪くてなによりだ」


 実質、彼は一枚上手であることを見せつけていた。


「ユーノ・スクライア先生、ありがとうございました。それでは次に――」


 司会者は大きく意気込む。


「僅か26歳でミッドチルダ、ベルカにおける民俗学、自然哲学、言語学の3分野において、博士を修め、かつミッドチルダで最も栄誉がある賞、『ディアヴ・ストーン賞』を受賞したご夫婦をご紹介いたします」
『……え? いや、まさか』


 司会者が自分のことのように自慢げに紹介するなか、なのは、フェイト、はやては久しぶりに会ったユーノとは違う、困惑の表情をする。


「どうかしたのかい?」
「アコース査察官、あの夫婦もお呼びになられたんですか?」


 不思議に思った彼が3人に(うかが)うと、悪い冗談だろうというようにはやてが質問する。


「いや、違うが……」
「さよ、か」
「あの夫婦ということは、知り合いなのかい?」


 ええ、まぁ。と曖昧に彼女は返す。


「この賞は、規則上、年1人しか受賞することしかできませんでした。しかし、これを覆したのはいまだ新しいと私も存じています。選考者たちは口を揃えてこう申したそうです。『優劣付け(がた)し』と。……口上が長くなりました。それではお願いします――」
『…………』


 3人ではなく、この会場にいる人たちのほとんどが息をのんだのは、


「ジャニカ・トラガホルン先生、ロビン・トラガホルン先生!」


 その夫婦が、それは1つの芸術のように存在し、壇上を悠然と歩いているからだ。

 ジャニカは黒いシャツに鈍いシルバーのネクタイを締め、上下とも黒いスーツを着こなし、赤黒い臙脂(えんじ)色の髪と見事に調和している。
 対するロビンは女性であるのにもかかわらず、ジャニカと揃いの黒いスーツを着て、相対するように白いブラウスにダークシルバーのネクタイが銀色の髪の彼女を引き立たせている。
 なおかつ、2人でいることそのものが互いを強調し、周りの時間を止めていた。
 ゆっくりとマイクの角度をあわせる。


「長い口上、どうもありがとう。しかし、私たちは年に片手で足りるほどの講義しかしておらず、広く長い道を創り、進んでいる多くの教授陣には敵いません。もちろん、スク
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