暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第19話 『今日という日この時からは』
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度はジャニカが不思議と傾げるなか、ロビンが1歩前に出た。


「『傘』が完成したのよ」


 コタロウの手を取り、笑顔で大事そうに手渡してきゅっと握らせる。
 貰った彼は途中何度も握った『傘』にすとんと目を落とす。


「ジャン、ロビン、おめでとう」
『……違う。そこはありがとうだろ(でしょう)?』
「ジャン、ロビン、ありがとう」
『どういたしまして』


 帽子の隙間から相変わらずの寝ぼけ目、無表情で2人を見上げると、対照的ににっこり笑っていた。
 それから製作過程を思い出話に一緒に夕食をとろうと、ジャニカが提案したまさにその時、


(かちり? 時限音だ)

「2人とも、伏せて」
『……?』


 コタロウは感情表現が苦手であり、このときも焦りを感じさせない無表情で2人に危険を伝えると、回答を待たずに両腕を広げて2人の鳩尾部分を抱え込み、押し倒す。
 ぐわんという爆発音とともに、真っ赤な炎が噴きあがった。


「なっ!」
「こ、これは」
「誰かが時限式の爆弾を仕掛けたみたい」


 爆発の時間差でやってくる空気の戻りを感じた後、むくりとコタロウは起き上がり、2人を起こす。


「陸士部隊と救急隊にすぐに連絡を」
「すでにやってる」


 ロビンの指示が下されるのと同時にジャニカは動いていた。
 すぐに消火と救助の要求を出し、通信を常時接続にしておく。


「ネコ、工場内に人は何人くらいいるの?」
「28人」


 3人は燃え盛る工場と対峙して、ぐっぐっと足と腕を伸ばす。


「ネコはここにいろ」
「ううん。行くよ。この状況を見れば、僕だって中の人たちが困っているのはわかるから」


 2人は『傘』の動作確認でコタロウの運動神経を知ったことから、無理に止めようとはしなかった。先の時限音を聞き取ったころからも明らかである。


「では、今は上官である私の指示にしたがって」
「分かりましたよ、ロマノワ一尉」
「了解しました、ロマノワ一等陸尉」


 互いの時計を合わせてすぐに、3人は工場内に駆け込んで行った。
 ジャニカとロビンの能力では火力を抑えることはできず、純粋に制御のみで立ち向かうしか方法はなかった。そして、コタロウは2人を押し倒したときから分かるよう、咄嗟(とっさ)の時に傘を使うということがまだできてはいなかった。






△▽△▽△▽△▽△▽






「私が先導します。無事な方はけが人を補助してください」


 工場内28人全員の安否を確認できたところで、後方をジャニカとコタロウに任せ、ゆっくりだが確実に出口へ足を進める。このときにはロビンの能力は役に立った。
 幸い、けが
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