暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第19話 『今日という日この時からは』
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徴的な寝ぼけ目でぴしりと敬礼をして答えた。


「電磁算気器子部工機課より出向してきました。コタロウ・カギネ三等空士です」




 それから数日間、注意深く見ていると、彼は何処にでもいた。
 あるときは清掃員であったり、またあるときは梯子(はしご)をもって電灯を交換する庶務員であったり、またまたあるときはしゃがんで通風孔にごそごそ入っていく一般作業員であったりしていたのだ。そしてその全ては「出向クン、それやっといて」という言葉からであることも知った。


「あの、カギネ三等空士?」
「はい。なんでしょうか、ランスター一等空尉?」


 初めはおずおずと話しかけてみると、彼の年齢と勤務年数に驚き、さらに陸士と空士のどちらも保有していることにまた驚いた。


「私も詳細はわかりませんが、そのほうが円滑に手続きが済むのだそうです」


 コタロウ・カギネ三等空士は自分の言葉に首を傾げていたが、ティーダはすぐに理解することができた。
 陸と海では確執が消えないところがあり、それぞれ仲が悪いのだ。それはここ首都航空隊もそうである。


「そうすると、本来はどちらなんですか?」


 ティーダは勤続年数からか、敬語で聞くと、


「設立が陸上なので、本来は陸です」


 無表情に彼は答える。
 それからまた数日、コタロウと会話をしてみると、彼が専門にとらわれない修理屋であることが分かり、今日、もしかしたらと思い、持ってきたオルゴールの修理を依頼してみることにした。


「カギネさんの仕事が終わった後で構わないんですが……」
「わかりました。それでは貸していただけますか?」
「あ、はい」


 ごそりとポケットの中から取り出したオルゴールを手渡すと、彼は近くのデスクに座り、


「外面はそのままにいたしますか? 磨き上げますか?」


 どうやら、すぐに直してしまうようだ。


「あ、できれば外面はそのままで。(なか)はお任せします。でも、特に急がないので、仕事の後でも……」
「問題ありません。私の契約は昨日までで、今日は移動なのです」


 じゃあ、なおさらお願いするわけにはいかないと断ろうとするが、


「視たところ、それほど時間は掛かりませんので、問題ありません」
「それではお願い……。って、昨日までなんですか!?」
「はい。1週間という契約でしたので」


 言われると確かに昨日で1週間だ。彼の修理と同じくあっという間であることにすこし驚き、そしてそうしているうちに修理は終わっていた。


「直りました」
「はや」


 手にとってキリリとネジを回すと、見た目の古さからは想像もできない軽やかな音が鳴る。



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