暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第19話 『今日という日この時からは』
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「今年、執務官試験受けるんでしょ? 大丈夫なの?」
「そのために夜も懸命に勉学に励んでると理解してくれるかな」


 そういうのは表に出さないようにするものじゃないの? と食後の紅茶を運ぶ彼女に苦笑いするティーダは、今年執務官試験を控えていた。
 本当であれば入局3年目に受けるはずであった執務官試験はもう少し勉学に励まなくてはならないと遅らせたのだ、
 ティーダは自分たち兄妹にも例外なく見えない傷を付けたクロウエアー223型墜落事故のせいには決してせず、妹の教育と時空管理局の務めに(しん)(れい)の全てを費やした。ティアナはごく(まれ)に甘えることはあったが、ローラ(ゆず)りの露草色(つゆくさいろ)の瞳の奥には信念の強さが見え隠れし始めている少女に成長しており、その過程を見てきた彼にとっては妹というよりもむしろ娘にちかい愛情の対象になっていた。


「そういえば兄さん。今日は早く帰ってくるの?」
「ん〜」


 ティーダは妹に仕事の内容を話していない。それは情報漏れの危険性があることと、現在捜査中の事件には奇妙な点があることだ。



 ことの発端(ほったん)は1つの情報盗難未遂であった。
 ある1つの集団が、管理局が収容している犯罪者の名簿を盗もうと画策し、行動を起こしたのだ。もし成功すれば、その名簿を元に管理局がいまだ捕らえきれていない犯罪者同士で徒党を組まれ、解放行動を起こす危険性があり、世間を揺るがす惨事になりかねない。
 そうならないためにも、その情報は普段管理局が管理している情報群とは違い、セキュリティレベルの高い管理が施されている。実質盗むということ自体困難ともいえた。
 しかし、その集団は各管理世界と、ここミッドチルダの管理局に属さない優秀なエンジニアを雇い、綿密な計画のもと計画を実行に移したのだ。
 だが、前述したとおり、それは未遂というかたちで防がれた。
 逮捕後、ティーダはその計画書に目を通すと、確かに綿密かつ周到といえるに十分なものであり――同期の航空隊の人間はよくわからなかった――正直、実行されればまず間違いなく成功する計画であった。
 3、40人の優秀なエンジニアがセキュリティ、ネットワーク、データベース、運用設計の漏れ、ごく(まれ)に発生するエラーケース、設計するにあたっての予算から割り出した費用軽視部分の調査等と2、3人ずつグループになり、管理局についてよく研究がなされていた。
 なおかつ、優秀な人間が通常より少ない時間帯を狙う手筈(てはず)になっており、それは確実に実行された。
 しかし、もう一度言うが、それは未然に防がれた。つまり、実行に移されたはずなのに、盗まれずに済んだのだ。
 今考えても不思議なことであったとテ
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