暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第19話 『今日という日この時からは』
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その正確さと信念に感服する。
 逃げる間、何度か同じ航空隊に囲まれたが、爆発で目を(おお)った時点で先程の局員より格下(かくした)なのはすぐに分かり、簡単に退けた。
 だが、次にやって来た1人の男にはそれが通用しなかった。


「ガガル・トイカだな」
「…………」


 ガガルは答えない。背中に翼が生え、傘をもっている男が奇異に見えたからだ。


「バースト・ガガー。アンタはどの『季節』のどの『気象』で捕まりたい?」


 自分が素直に降伏すればよかったと後悔したのはそれから、1ヶ月先の目が覚めたときであった。






△▽△▽△▽△▽△▽






 仰向けに寝ているティーダは薄れていく意識のなか、何とか右腕右手だけが動くのを確認した。
 手探りで近くにデバイスがあること確認し、引き寄せ、口でくわえた後、


(あと、もう少し)


 ぐるりとうつ伏せになる。地面の冷たさを頬に感じた。
 ずる、ずる、と自分の近くに一緒に堕ちた写真に向かって這いずる。


(もう、ちょっと)


 腕が届くまで頭1つとなかったのに、いやに遠くに感じた。
 何とか写真を手にして、


(ふ、ふ。これはティアに見せるわけにはいかないからねぇ)


 自分の身体の何処を触っても血が流れていたため、何処でも構わなかったが、あえて涙を拭くように、もう見えない左目下を拭って指先に血をつける。
 そして、写真を裏返して、『ティーダ ティアナ たのむ』の最後の行に、『父さん 母さん ごめん』と付け加えた。
 写真を表に戻して4人写った写真に目を細め、


(ティア、も、ごめん)


 残りの魔力を使って、その写真を燃やした。ゆらゆらと煙が天に向かう。





 その後、1人の女性が駆けつけて「ティーダ・ランスター一等空尉!」と呼びかけたが、


「…………」


 既に、彼はこときれていた。






△▽△▽△▽△▽△▽






 それから数日たったある日とある日を跨ぐ時刻、彼女は今、雨の中2枚の墓標に書かれた人の名前に目を落としている。
 周りには誰も居ない。


「…………」


 そこには



『シルフィオ・ランスター
ローラ・ランスター ここに眠る』

『ティーダ・ランスター ここに眠る』



 と書かれていた。
 まだここには来たばかりで、明日は休日、そしてその次の日は学校が待っている。
 だが、家で待っている人は誰一人としていない。
 そう、誰一人としていないのだ。
 このような夜更けに10歳になろうとしている彼女が独りでいるの
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