暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第19話 『今日という日この時からは』
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っていることに気がついた。


(……ぅ、ぁ)


 彼の焼け(ただ)れた背中など(かす)んでしまうほどだ。


[ジャン、悪いんだけど、左腕、切り落としてくれない?]


 念話の彼はとても落ち着いたいつもの口調だった。
 親友の頼み事には彼の能力が役に立った。
 ジャニカは2度、3度躊躇(ためら)った後、一思いに綺麗に腕を分断し、彼を助けた。コタロウはむくりと立ち上がり、


「助けてくれてありがとう、ジャン」


 転がった帽子を被りなおす。
 固まっているジャニカはその瞬間、我を忘れて、相手の胸倉を掴んだ。


「なんで、だよ!」






△▽△▽△▽△▽△▽






「皆、無事でよかった」


 結局、傘を使うことはなかった。
 ロビンはコタロウの姿を見て、首を横に振って「嘘でしょう?」と自失し、彼の言葉に膝から落ちて、腕ごと彼の腰に抱きついた。腕ごとといっても右腕だけだが。


「えーと、ロビン? あまり感情的になりすぎると、お腹の子によくないよ?」


 今の彼女にとっては自分の体調のことなど、どうでもよかった。


「……悪い」


 この時、ジャニカはロビンに生まれて初めて謝った。
 彼女は立ち上がり、自分の制服の上着を抜いでシャツ1枚になると、上着をコタロウの肩にかけた。


「ジャンが謝っても、ネコの腕は返ってこないわ。それに、ネコ自ら動いたのでしょう?」
「ミスを誘ったのは俺だ」
「疑う余地がないわ。ネコが1人ならミスなんて犯さないもの」


 本当に貴方は私の感情を揺さぶるのが上手なのね。と救急隊を呼び寄せた後の彼女は燃え盛る火炎を横に、彼を見る。
 (うる)んだ碧空(チェレステ)色の瞳が、頬を(つたう)(なみだ)が赤く染まり、今の感情を表現していた。それでもジャニカに対する愛は変わらなかったし、彼もまたロビンのそれに気付いていた。
 周りの人たちが騒ぐなか、3人の間は無言が続く。
 だが、それは通信によって打ち切られた。同時に救急隊も到着する。


「首都航空隊より要請だ。苦渋の選択らしいが、陸士部隊に応援を頼みたいらしい」
「応援?」


 通信相手の上官は陸と海の確執なんてくそくらえと言葉を漏らす。


「ガガル・トイカの逮捕だ」
「バースト・ガガー。か」


 感情を押し殺し、冷静にジャニカは応対する。


「あぁ。手傷は負わせたが、どうも取り逃がしたらしい」


 取り逃がした局員は瀕死の重症だと続ける。


「それを追えと?」
「そうだ。情報は送る」
「お前たちのことだ。生ける人間は全員救助済みだろう?」

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