暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第19話 『今日という日この時からは』
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人はいたが、死者はいないようである。重症でも骨折ぐらいだ。


[そちらは目視できないけど、大丈夫?]
[あぁ、問題ない]


 ジャニカは噴煙で見えない先導者の呼びかけに答えると、最後尾の影が動くのが見えた。


[ネコ、行くぞ]
[うん。ちょ、っと、先行ってて]
[何言ってんだ? 早く行くぞ]


 少しはなれたところにいるコタロウに目を向けるとしゃがんで何かごそごそと工具を使っていた。


[爆発でここだけ消火装置が動いてないみたいだから……これでよし]


 ばたんと床を閉めると、上から消火液が散布される。
 これで火の手が大きくなることはある程度防ぐことができる。床には炎を助長させる液体が流れているのだ。引火すればひとたまりもないだろう。


(ん、そうだ。傘を使えば、ここ一帯の炎を……)


 気を抜いてはいないが、傘を使用すればこの状況をひっくり返せることを思い出し、こちらに向かってくるコタロウに近づいていった。


[おい、ネコ。その傘な――]


 妻であるロビンがジャニカに抱きついた数と、コタロウに抱きついた数は数えるまでもない。
 そして、親友であるコタロウがジャニカに抱きついた数はおそらく片手で足りるほどだ。また、押し倒されたことなんて先刻(さっき)と今をあわせて2回しかない。


[……コホッ。ジャン、大丈夫?]


 だが、自分の上にのしかかっている親友が口からぼたりと血を自分の頬にたらしたところなんて見たことがなかった。


(なにが、起きた? 俺は何に寄りかかっている?)


 ジャニカはまだ状況をうまく飲み込めずにいた。スンと何か焼けるような匂いが鼻に入る。工場内に入ったときとはまた違う匂いである。


[今、助けるから]


 寝ぼけ目の男はもう一度小さく(せき)をしてから、相手の(えり)を噛み、思い切り首を動かして彼を脱出させる。床に流れている液体が手助けしてくれたので、摩擦力は少なかった。
 彼はそこで自分の見えているものが天井であることを知る、消火液が黒い点になって数滴僅かに開いた口に入った。


「おい、ネコ!」


 がばっとジャニカは起き上がってコタロウを見ると、数本の鉄骨が彼の上に覆いかぶさってるのが目に入る。思わず煙を吸い込むのも忘れて、彼に近寄った。


「すぐ、どかしてやるから」


 熱された鉄骨に触れることで火傷(やけど)は免れないが、そんなことを気にしている余裕はない。先程の焼けた匂いはコタロウの身体からだった。
 彼にのしかかっている鉄骨を退()かしたところでジャニカは彼の左腕に太い鉄骨が縦に突き刺さり、床にめり込み、どうしようもないくらい折れ曲が
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