暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第15話 『このような理由』
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ルの作った料理はどうみても美味しそうには見えず、さらにいうと焦げてはいないのに、どれが野菜でどれが肉なのか分からないものだった。
 彼女の料理の腕前を知らないのはどうやら新人たちとこの場にいない1人の男だけであり、ヴィータと当の本人以外は誰も口を出すことをやめていた。
 一方本人シャマルは立ったままコタロウと違って空気を察知、(さみ)しそうな表情をしている。


「え、えと、それじゃ――」
「待ってエリオ、私がいくよ」


 フォークを取るエリオを制してスバルが料理を引き寄せた。


「ち、ちなみにシャマル先生?」
「は、はい」
「味見ってしました?」
「コイツがするはずない」
「…………」


 シグナムの言葉にヴィータとリインが深く頷く。


「む、無理せんでもええで?」
「い、いいえ。頂きます」


 シャマルの無言のプレッシャーに新人たち――この場合はスバルのみ――は拒否することができなった。
 そして、これは勢いだとスバルは心に決めて、迷うことなく一口食すと、


「…………」


 無言でぐにゃりと背中を丸めてテーブルに額をつけた――料理はティアナが当たらないように避ける。


『…………』
「あの、お味は」
『(聞くんだ)』


 心の中で全員が思いが一致する。


「と、とりあえず。すいませんとしかいいようがありません」


 ゆっくり頭を上げて目尻に涙を残し、かろうじてスバルは答える。


「シャマル、お前、味見してみろ」

(できればそれ、食べる前に言ってほしかったです、ヴィータ副隊長)


 あらゆる思考がなくなってしまったのか、スバルは妙に冷静にそんなことを思う。
 シャマルはフォークで自分の料理をすくい、頬張ると、


「う゛……」


 ふらふらと自席につき隣のシグナムに頭をあずけた。


「ごめんなさい」


 それだけ言うと、しょんぼりと皿の上にあるはやての料理を口に入れる作業を再開した。


「まぁ、味見は大事よね」


 アリサが何とか改善点を示してみる――実質それは料理をする上で普通の作業である――が、シャマルの表情はうつむき加減で分からない。


「いえ、シャマルが悪いのです、お気になさらず」


 歓談の続きを。とシグナムは促したところでコタロウが戻ってきた。
 そこでヴィータは何か閃いたように二度三度、彼と料理を目配せすると、


「コタロウ」
「はい。なんでしょうか、ヴィータ三等空尉」
「これ、シャマルがお前に」


 ずいと身を乗り出して料理をコタロウの前に持ってくる。


「え、ちょっ、ヴィータちゃん!?」
「いいから――
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