暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜困った時の機械ネコ〜
第1章 『ネコの手も』
第13話 『バンソウコウとキィ』
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ワン! とほえると向こうがこちらに気付き、始めにアルフと目を合わせた後、エイミィと目が合う。


(こんな晴れてるのに、『傘』?)


 そんなことを思いながら彼女がぺこりと頭を下げ、その先のゆるいカーブを曲がるためにハンドルを操作しようとしたとき、彼の背後からいきなり自転車(マウンテンバイク)が飛び出してきた。


「――っ!!」
「このッ!!」



 エイミィはすぐに目を(つむ)ってブレーキをかけ――後ろの2人はびくりと目を覚ます――アルフはカゴから出ようとし、相手もすぐにブレーキをかけるが、間に合いそうも無い。
 その時、アルフは目を見開き、エイミィはごちんという音だけが聞こえた。


「そのような速さは危険だと思います」


 ゆっくりとエイミィが目を開くと、まず『傘』が見え、少しずつ視線を上げると、次に相手自転車のハンドルを右手で支えている男性の背中が目に入った。
 その後、エイミィは相手の自転車乗りは今日はじめてこの土地に来て、思わず魔が差しスピードを出しすぎてしまったことを1人の男性に話しているところを聞き、彼に一言、自分と2人の子どもたちに一言謝った後、ヘルメットを(かぶ)りなおしてゆっくり自転車を走らせていった。


「あの、大丈夫ですか?」
「はい。あの方と自転車は特になんとも無さそうです」
「え〜と、いえ、貴方が」


 まだ、彼女は彼の背後しか見ていない。


「私が、ですか? はい。大丈夫です」
「…………」


 そう言ってくるり男性は振り向くと、


「ぜ、全然大丈夫そうにみえないんですけど……」


 無理矢理自転車を止めたため、相手の身が乗り出さないよう頭で相手の頭――ヘルメット付き――を抑えたからか(ひたい)から血が出ていた。
 血は鼻背(びはい)で2筋に分かれ口まで達した後、その男性はぺろりとそれを舐める。


「あ、本当だ」
「えと、すぐに病院へ!」
「いえ、コレくらいなら大丈夫です」


 その男性はつなぎを着ており、ジィと前を開けると中のポケットからちいさな傷薬とバンソウコウを取り出す。
 さらに、彼はきょろきょろと辺りを見回して近くにベンチを見つけて腰掛けると、傷薬を額に吹き付け、特徴的である寝ぼけ目をさらに細め眉根を寄せて顔を(ゆが)ませた。
 エイミィは慌てて近づき自転車を停め、自分のハンカチを取り出して相手の額を拭う。


「あ。ありがとうございます」
「いえ、これくらい」


 しばらくそっと押さえている間、アルフは子ども2人の面倒を見なければならず、ぺろぺろと舐めたり、じゃれたりしてかまっている。


「それ、貸してくださいませんか?」


 男性が
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ