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アマガミという現実を楽しもう!
第14話:ラブリー強襲
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を見続けているうちに思わず笑いがこらえず、吹いてしまった。森島は、「え、なになに?」と言いながら周りをキョロキョロ見渡す。自分の行動のおかしさに気がついていない様子であり、自分のそばに何か面白いものがあってそれを探しているみたいだった。俺は、その仕草が余計におかしく感じられて、笑いが止まらなくなってしまった。笑いと呼吸の乱れで、口から咳と笑いが入り混じって苦しかった。


(本当にコイツは無邪気なんだな。この無邪気さが、周りの人から好感を持たれて集まってくるんだろうな)
「むむむ、何よ〜」


 森島は、俺が笑っている原因が分からない様子で、腰に手を当てて不満そうに言った。頬が膨らんで眉が少しだけしかめている。
(ちょっと笑いすぎたか。怒らせたかな?)
と思った俺は、笑いを抑えようと咳払いをして、平然とした表情を作ろうとした。


「いや、何でもない。」


と平然とした声と表情を作って手を合わせて森島に謝った。ただツボに入ってしまったのか、顔が笑ったままだったので、地面を向いたままであった。


「若さっていいな、って思ってさ」
「も〜、自分だって若いじゃない!」


 外見の年齢は同じでも、俺は一度社会に出た身で、森島みたいなあんな無邪気な仕草は出来ない。大人に近づいて、社会や世界の汚いものをダイレクトに見続けていたら、無邪気さは残らず枯れて無くなってしまう。森島の明るさや無垢さ、というのは大人の俺からすれば、目も眩むような若々しく美しい宝石みたいなものだ。これから先も、無くしてもらってほしくない。スキBADのような無垢さや明るさを捨ててしまった、あの「森島はるか」にどうかならないでほしい。


「それで遠野君。次はどこに連れて行ってくれるのかな?」
(やべ、逃げるのに精一杯で全然考えてなかった)


 俺は、今まで回った(退避した)場所を思い返す。図書室は行った、…森島が動物図鑑を見て和んでいた時を襲われたから良く覚えている。茶道室…、夕月と飛羽が裏切りやがって嵌められそうになった。音楽室…、吹奏楽の演奏を廊下で聞いていたら両側から挟み込まれそうになった。今まで回った部屋を追いかけっこの苦労とともにげんなりとしながら思い出し、おそらく屋内の全ての部屋を制覇できたのではないのだろうか?残るは屋外と言うことで、


「じゃあ、剣道場で剣道部の練習でも見学するか?」
「わお!剣道、武士、サムライね!なんだか面白そう!楽しみだな〜!」
「そこまで期待されても困るんだがな」


 許可を貰ってくるからちょっと待ってろ、と一言。森島は「待ってるよ〜」と言って手を振る。まだまだ、案内は半分が過ぎたばかりである。









(次回へ続く)

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