第14話:ラブリー強襲
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森島の目から放たれる「捨てないで」光線に耐え切れず、俺は目線を逸らす。教室を見渡すことにするが、周囲を見て俺は愕然とする。男子生徒から「憧れの美少女を奪った全男子の敵を嫉妬の炎で焼き尽くしてやる」「あまつさえ森島さんの校内案内だと…許せん!」という俺を視線で呪い殺そうとする気迫がビンビン感じられるのだ。それに加えて「森島さんを泣かせたら…後は分かっているだろうな」という脅迫めいた意思も伝わってくる。
女子生徒達も俺に対する同情やら軽蔑、森島に対する羨望や嫉妬の念は無く、俺と森島の間の関係を推測する話をしているらしい。漏れ聞こえる言葉では、何やら少女マンガのような展開が繰り広げられているようだが、そんなことは勿論ない。幼いことの約束を果たすために転校したなんて設定はない。
俺の隣の夕月は「面白そうな事見つけた」というニヤケ顔を隠さずに俺のこの状況を楽しんでいるようだ。
飛羽の方も俺に対して手を合わせて「ご愁傷様」と一言小さく呟く。何か変な呪いが掛けられていないかと心配になる。
「わ…分かりました。案内の任、拝命します」
「よし、今日案内してやれ。顧問には俺から言っておく」
俺は観念とばかりに先生に承諾の意思を伝える。俺みたいな女性に弱いタイプがハニ―トラップなどに引っ掛かるタイプなのであろう。担任は俺の承諾に満足したのか二言だけ俺に言うと、「じゃあ今日はこれにて解散」と扉を開けて教室からさっさと出て行く。俺の頭では、扉の閉まる音が闇のゲーム開始のゴングに感じられた。
ガラ…
担任教師が教室から身体を出し、扉を閉め始める。まずい…
ガラガラ……
等加速で閉まっていく扉…
ガララ……トン!
(カーン!)という音が頭の中に鳴り響いた。一斉にクラスの男子達はバ○オハザードのゾンビみたく、奇声・罵声で叫びながら俺を襲い掛かってきた。
(俺が何をした!確かに女の子の知り合いは人並みにいるけど、腐れ縁だったりして女の子と言うよりも親友や悪友って感じだぞ!そんなん何処にでも一人はいるだろ!)
筆者を含めて「そんな羨ましいシチュエーションねえよ」という叫びが聞こえた気がするが、この状況から逃げ出す事が先決なので無視することにする。この理性のかけらも無くなったコイツ達の動きを予め読んでいた。直線的に俺に対して襲い掛かる魔の手が届く前に、俺は森島の手を掴んで教室からの脱出に成功した。
「え、え、なに?どうしたの?」
「いいから逃げるぞ、案内も兼ねてな」
何がなんだか分からない様子の森島を引き連れ、俺は校舎内であいつらを撒くべく全速力でその場を離れた。途中別学年を受け持つ知らない先生に「廊下は走らない!」と注意されたが、規則より生命の方が大事だと思って無視
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