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アマガミという現実を楽しもう!
第14話:ラブリー強襲
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もできん。諦めて案内しろ、以上」
「私以外にも適任者が…」
「お前は、授業の出席率も態度も悪い。定期テストでトップクラスの実力だから相殺されているが、ここで内心稼いでおかないと俺は構わないが他の先生から睨まれる事になるぞ」


 それを言われると、ぐうの音もでない。授業も「最低限の出席率で図書館で勉強すりゃあいいや」、と言ってサボりまくっており、年齢が似たクラスの連中とかとは表面上うまくやれるようにはなった。しかし、素行の悪さで先生方から睨まれるのは小学校の頃から変わらず、中学でも多くの先生から優秀だが素行に問題のある生徒としてマークされている。
 一度、授業中に大恥を掻かせた数学教諭は俺の家に対して電話を掛けてきやがった。父さんによると、「お宅の息子さんが授業に出ないんで困っているんですよ、どのように育てたのですか!」と電話越しで怒鳴られたそうだ。あのハゲ頭を殴り飛ばしたくなったが、両親は暴力は駄目だと強く諭し「自分で責任を持って中学生活を楽しんでくれ」とだけ言ってくれた。良い両親であった、精神的には息子ではないことが俺に対して自責の念を生ませる。


「じゃあ、遠野に森島さんの案内をしてもらうことでけt」
「いや、納得できない!」


 正直ロジックもクソも無かったが口だけ出してみた。「ここで折れたら俺の命が終わるかも知れない」と俺の本能が騒いでいて無意識に出た言葉だった。周囲には俺に対する好奇,嫉妬,羨望など色々混じった黒い視線が俺の身体に密に差し込まれる。恐らく,視線で人を殺すことは物理的に無理だが、この事態の悪化が俺を殺す方面に状況が転ぶことは考えられない話ではない。駄目だ、無意識のうちに言ってしまったから何も浮かんでこない。何か起死回生の言葉は無いのか!?…


クイクイッ…クイクイッ…
(…?何だ?)


 ふと考え込んでいた時に右腕に微小な揺れを感じて考えを中断する。揺れを感じる点に視点を移すと、小さな可愛らしい手が自分の制服の右袖を引っ張っていることに気が付く。その可愛らしい手を辿り視線を手から腕へ、腕から肩と移していくと一つ前の席の女の子の顔が見えた。ウルウルした瞳で俺を見て、しょんぼりする子犬のような森島の顔が。


「遠野君、私の案内…嫌なの?それとも私が嫌いなの」
「うっ…」


 私を嫌いにならないで、と訴えるような顔と声で言われて、俺は担任に対する反論を挙げられなくなってしまった。この表情から放たれる森島のカマッテ光線は、直接攻撃を受けたもののみ分かる、男の心の障壁をたやすくマインドクラッシュできるほどの超弩級の破壊力を持つことが。


(案内が嫌でも無いし、お前が嫌いでもない。むしろお前となら友達になりたいくらいだ。そんな子犬が泣きそうな目で俺を見ないでくれ)


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