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第二十話 拒絶
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心や考えを読んで最適な言葉を叩き込む。人を弄ることに無駄に才能を発揮するな、この人は。
「あはは……全く知らない人と同室になっちゃうより、ある程度こちらで把握できる簪ちゃんのほうがいいかなって。私のお願いのためにもちょうどいいし。……まぁ、あなたが男の子ってことをまたちょっと失念してたなんてことは決してないからね」
「いやいやいや、それ忘れてたでしょ!? あのときの失敗しちゃった発言はそういう意味だったの!? はぁ、もういいや、それも別にいつものことだし」
そうは思ってもなんだかドッと疲れた気がする。
「まぁ、それはさておき。私も気づいたことがあれば連絡するから……簪ちゃんのこと、よろしくね」
「このまま一方的に嫌われたままっていうのも嫌だしね、せめて理由を聞いてなんとかなるようならなんとかするよ」
「……ありがと」
状況的には楯無さん以上に、今の簪さんと仲良くするのは大変な気がするけど。それでも乗りかかった船だし、頑張ってみよう!
と、意気込んだもののそれから一週間の僕の部屋の空気は酷いものだった。楯無さんの部屋から戻ったあと、話をしようとしたもののシャワーの順番などの部屋のルールを簡単に決めるやり取りをしただけで口を閉ざしてしまった。
翌朝も挨拶程度はしてくれるけど、それ以外はほとんど会話にならない。ある程度自分の荷物も整理できたようで、あとはひたすら端末を操作して何かをしている。……何してるか教えてはくれなかったけど恐らく専用機に関することだと思う。
そんな状況が続いて、何の進展もないまま入学式の日がやってくる。立場上、僕は新入生ではないけれど参加することになった。その中で遠目ながらも話題の人物、織斑君を見ることができた。式の最中も周りの視線を一身に受けて縮こまっていたけど……あれはキツい。僕も何故か似たような感じだったけど、あの時は楯無さんがいた。今年は彼に集中しているから僕にほとんどそういう視線は感じない。
、話しかけられるわけでもなく遠巻きに見られているだけというのはやはり辛い。式が終わると彼は逃げるようにしてその場を後にしていた。ちなみに、この年の新入生代表挨拶はセシリア・オルコットという生徒。彼女が今年の主席なのだろう、イギリスの代表候補生で専用機持ちということだ。
そして翌日の授業初日の朝、貼りだされたクラス割を見る。僕は四組、予想通りではあるけど同室の簪さんと同じクラスだ。
他の気になる生徒でいうと、織斑君や束さんの妹の箒さん、それに代表挨拶をしたオルコットさんが一組だ。……去年に引き続きこのクラス編成の偏りは何の意図があるのだろうか。
ともあれ、気になる生徒が一組に集中してくれたのは助かる、かな。特に箒さんは束さんのこともあるし、機会を見て話してみよう。
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