第八十四話 失うモノ
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撃戦を中心とすべきであろうとグラスゴーは思っているのだが、足並みを崩したせいで味方への誤射の危険性などを含めて迂闊に討つことも出来ない。
「右翼からの展開はミネルバに戦線を任せるように連絡するのだ。メサイアからの砲撃がある以上、戦力を集中させるのは下策だぞ」
それでも艦隊の指揮官としての務めを果たさなくてならない。グラスゴーは冷静に敵の戦力を把握して二つ以上に戦力を分けるように命令を下し、そのまま崩れた敵を畳みかけるように攻撃するよう指示する。浮き足立った味方部隊もまともな命令が出されれば動けるものだ。
しかし、敵もそう甘くはない。何せ元は同じザフトなのだ。士気や個人レベルでの技能の差はあれど、少なくとも軍としての質は同等レベルである。寧ろ機体はデュランダル側の方が最新鋭の機体も多く、メサイアという要塞が存在している以上、向こうの方が有利だと言っても過言ではない。
「敵艦、砲撃来ます!」
「下手な回避はするんじゃない!こちらの横腹を曝すな!正面に向かって回避しろ!!」
敵もこちらの動きを阻止する為だろう。敵は艦隊からの艦砲射撃を放つ事でこちらのMS部隊と艦隊を分断し、戦列を乱しに来た。グラスゴーの的確な指揮によって何とか艦隊の被害は最小限に抑えられるが、敵の攻撃にグラスゴーは声を荒げる。
「なんて奴等だ!射線上に味方もいるだろうに!?」
確かに互いに敵味方で同じ機体に乗っている者が多い以上、見分けがつきにくい。それでも敵味方識別信号が有視界戦が常の艦砲射撃が届くこの距離で全く機能していないという事はないはずである。
少なくともMSを下げる事ぐらいは出来たはずだ。にも拘らず、MSを引き下げないままに敵の艦隊は砲撃を仕掛けてきた。おそらくこちらの部隊の被害を少しでも増やすためなのだろう。一方でグラスゴー等の艦隊は味方に被害を出すわけにもいかず、艦隊からの射撃は制限されてしまい、敵の攻撃を前に耐え忍ばなくてはならない。
「このままでは味方が散り散りになってしまう!ラー・カイラムを前面に押し出せ!分断された部隊の中継点にするんだ!」
グラスゴーは自らの艦隊を進撃させることで味方の被害を最小限に止めようとする。だが敵もさるもの引っ掻くもの。ラー・カイラムの動きを逆に封じ込めて孤立させようとしてくる。
『いかん、ルドルフ!母艦が攻撃を受けているぞ!』
ミネルバとラー・カイラムによって戦力を二分し(分断されたと考えてもいいが)、ラー・カイラム側の方ではルドルフやアレック達が何とかしようと奮起するのだが戦線はデュランダル側の有利に傾いていった。今の状況を打開するには賭けに出るか、或いは外部の状況が変わらなくてはならない。
グラスゴーにしてみればここで何も変わらない状況にしびれを切らせて賭けてに出ても勝つ
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