第八十四話 失うモノ
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ザフト同士の戦端が開かれ、敵味方の区別がつきにくくも互いに銃口を向け合う中、その消極的な戦線を前に我先にと突破しようとしたのは黄金色に染め上げられた騎士のMS――――そう、ルドルフが搭乗していたギャンクリーガーであった!
『ハァッハッハハハ――――ッ!どうした、己の信念を懸けているというのだろう!かつての味方であっても討つという決意のもとに戦場へと降り立ったのであろう!ならば臆せずして掛かって来るがいい!!
――――この僕を斃せずして君達に勝利はないぞ!!!』
そのルドルフの叫びにデュランダル側についている一部のMS隊は気圧される。残りの部隊は攻撃を仕掛けるがギャンクリーガーはその攻撃を躱してランスで敵のゲルググを貫いた。
『油断するな、元は同じ所属の相手だ――――こちらの機体の性能は把握されていると思っておけ!』
アレックはそうルドルフの独断専行に対して注意を促しながらフォローする。最初の攻撃から立ち直り始めた相手の部隊は囲い込む様に先行した彼らに攻撃を仕掛けようとする。
『ルドルフ!』
『分かっているさ、我が戦友よ!』
しかし、相手が悪かった。彼らはすぐさま互いのフォローに回れるように立ち回りを変える。ルドルフが囮になってはアレックが撃ち抜き、アレックを落とそうとすればルドルフが突撃する。そして入れ替わり立ち代わり、時に背中合わせにお互いの動きをカバーしていた。
『全く……貴様とも長い付き合いだ。おかげで貴様のその言葉を否定しようにも出来んではないか!』
『照れるな、戦友よ。この僕と共にいるのだ。この『白金の双騎士』の美しさというものを魅せつけてやろうではないか!』
『……やはり先程の言葉は撤回させてもらおう……なんだその称号は?』
知らない間によくわからない称号をルドルフから与えられていたことに頭を押さえそうになるアレック。彼らはそうやって戦線を突破しつつ、敵戦力を削っていく。
所変わり、彼らよりも後方でミネルバと行動を共にしていた彼らの母艦、ラー・カイラムの艦長であるグラスゴーも流されるままにミネルバ側につくことになってしまっていた。勿論、嫌々ミネルバ側についたというわけではないのだが、それでもどちらかと言えば安定した出世と円満な退職が欲しい保守派に近いグラスゴーにとって、現在の状況はどちらについても面倒な状況という事は変わらずアレック以上に頭を抱えたくなってもおかしくない。
「戦いの定石を無視しおって……!?」
更に言えばグラスゴーは戦線を無視して突撃していったルドルフとそのフォローに回っていたアレックに対しても文句を言いたい。敵の戦線を崩したのはいいが、こちらの部隊もそのせいで逆に浮き足立ってしまっているのだ。こういった場面では始めは艦隊による砲
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