第13話:波乱の秋
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心配なの」
(壊れてしまった結果が、原作のアレか。スポーツドリンクを犬に無理やり飲ませたり、普通なら年齢的に悪いことだと考えてしないことを平気でしていたからな。これではいけない、何か打開策は無いのだろうか…)
陰鬱な雰囲気を打破するべく、俺は一つの案を考えてみた。妹を救うことで、姉のこの人を救うという芋づる式の案である。原作知識だけに頼った突発的な案だが、彼女の絶望や悲しみを聞いていたら、それでも提案してみようと思った。
「…そのときは俺が、絢辻先輩の妹さんを救って見せますよ。だから、妹さんを俺が目指す輝日東高校に入学させてください」
「…あなたが、詞ちゃんを救う、というの?」
俺の言葉に、絢辻先輩が訝しげに尋ねる。俺ではなく、主人公の橘がメインアクターとしてその役割を担うだろうが、そこに至るまでのマネージャーとしての根回しは残り4・5年もあれば俺でも出来るはずだ。…原作では出来ているんだ、可能性が無い訳ではない。俺はしっかり絢辻先輩の目を見て答える。
「あなた、自分から苦労を背負っていく損な性格ね」
「よく、友人から言われます」
「…いいわ、あたしはあなたの言葉に乗って見せましょう。その言葉が真であるかどうか、見届けさせてもらうわ。あなた、ポケベルは持ってる?」
「え?ええ」
俺は学ランの右ポケットに入れていたポケベル端末を取り出す。携帯電話世代の俺にとって、この古い通信手段は使いづらく、親以外との連絡手段としては使っていなかったが、今回初めて家族以外との連絡手段になった。
「何かあったら、私のポケベルに連絡してね。あたしの方も、何かあればそこに連絡するから。…わたしの、妹をよろしくね」
と、いい絢辻先輩はいつもの笑顔(一瞬だけ物凄く綺麗に見えたのは気のせいだったのだろうか)を見せて帰路に着く。4年・5年後が勝負…というわけか。物語に深く関わってしまい、雰囲気ぶち壊しの原作ブレイカーとなってしまうが、それはこの世界にとっていいものなのだろうか。少なくとも表立ってやるわけにはいかないから、秘密裏にプロジェクトを進めていこう。
絢辻先輩の姿が見えなくなった後、はぁ、と俺は息をつく。
(考えたかったことを消化できずに更に考え事が増えてしまった。次第に考え事のタスクが処理できなくなっていくぞ。こりゃ、人生を楽しむというかは、人を救って学生生活が終わるかもしれないな。)
俺は、ベンチをベッド代わりに横になる。絢辻先輩のこともあるし、何故知子を抱きしめたかについても考えなければならないし、新人戦に向けてのスケジュールを組まな…
………
……
…
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