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『八神はやて』は舞い降りた
序章 手を取り合って
第4話 夜天の書、大地に立つ
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をかねて保護ができる。
 と、同時に恩を売ることもできて、一石二鳥だ、と考えたのかもしれない。
 異世界――夜天の書にとって――で活動する基盤を、手に入れた瞬間だった。
 いろいろと設定を煮詰めることで、ボクたちは「家族」になり、新たな門出を迎えたのである。





 ぼんやりと、守護騎士たちとの出会いを回想しながら、リインフォースと一緒に夕飯を作る。
 「ヴィータお姉ちゃん」とよんだときの、ヴィータの喜びようは、今でも鮮明に思い出せる。
 お姉さんとして振る舞う姿は、微笑ましい。
 と、同時に、確かに、ボクの姉だと強く認識することができる。
 いろいろと辛酸も舐めてきたが、シグナム、ヴィータ、ザフィーラ、シャマル、そしてリインフォースの5人は、いつもボクの傍にいてくれた。


 ――――ああ、間違いなくボクは幸せ者だ。





 聖書の神とともに旧魔王たちが倒れ、なし崩し的に私は魔王になってしまった。
 旧魔王を信奉し、私を認めない者たちがいた。
 自らが魔王たらんとし、打倒サーゼクス――私のことだ――を掲げる者たちもいた。
 おかげで、悪魔社会は混乱の最中にあり、同時に、天使や堕天使連中を牽制し、少子化問題など山のように仕事が舞い込んできた。
 

 すっかり疲労した私は、生き抜きを兼ねた視察と称して、かわいい妹のリアス・グレモリーが将来領有することになる駒王町の視察にきていた。
 幸か不幸か、視察を終え帰る間際に、はぐれ悪魔の出現情報が舞い込んできた。
 ちょうどよいから、側近には止められたが、見回りと称してこの町を練り歩きながら、はぐれ悪魔を捜索することにした。


 都合のよいことに、真夜中の少し前――人間に姿を目撃されづらい、悪魔の活動時間である――だった。 頭上の満月が美しかった、と、記憶している。
 探し始めて、数分いや十数分過ぎた頃だろうか。
 突如、悲鳴が鳴り響き、発生源から、はぐれ悪魔の気配を感知した。
 急行する途中、悲鳴が途切れ、


(間に合わなかった)


 と、自責の念にとらわれた瞬間。
 はぐれ悪魔の気配がする一軒家から、強い力の波動が溢れだし、唐突にはぐれ悪魔の気配が消えた。 とりあえず確認した時間は――――午前0時。


 ほどなくして、現場につくと、はぐれ悪魔は既に討伐されていた。
 なぜならば、妹のリアスと同世代だろう幼い少女が、両親と思われる遺体に泣きながらすがりつき、 その傍らには、無造作にはぐれ悪魔の残骸が放置されていたのだから。
 これで、懸念の一つが解消されたわけだが、いままさに、別の問題、しかも、はぐれ悪魔とは比べ物にならないほどに、厄介な代物に直面している。


 ――すすり泣く幼い少女


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