第一物語・後半-日来独立編-
第六十二章 覚醒せし宿り主《2》
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
解放場を背負う駆翔天が、限界を越えて解放を行う解放場によって震えていた。
振動が伝わり、今にも壊れそうな感じがした。
解放し切れぬ流魔が徐々に結界内に貯まっていき、結界自体にも限界は来ていた。
ひびの入った箇所が目立つようになり、軋みの音と共に新たなひびが入っていく。
もうここまで来たら、結果がどうなるか皆は解っていた。
留め切れぬ流魔によって結界が、そして解放仕切れぬ程の流魔によって解放場が。なんの拍子も無く、破裂と共に爆発した。
生まれる熱と爆風は駆翔天を包み、喰らうように全体を同じく爆発させた。
艦内にいた者の殆どはこの爆発に巻き込まれるも、緊急時に発動する仕掛けとなった加護によって火傷など負ったものの命の危険には晒されなかった。
二キロもあるハイドレイク級戦闘艦が爆発したのだから、周囲に広がる熱や爆風は相当なものだ。
人など堪えても立っていられない程で、駆翔天の近くに停泊していた戦闘艦や航空船は微かに位置をずらした。
焦げ臭い匂いと共に、放たれた炎と煙を離れた場所に泊めてある辰ノ大花のドレイク級戦闘艦・華空の甲板上から、セーランと奏鳴は見ていた。
爆発すると同時に、セーランによって奏鳴と自身を流魔の盾によって覆い、熱と爆風から身を護ったのだ。
間一髪だった。
「平気か」
「ああ、大丈夫だ」
奏鳴を気遣い、声を掛ける。
思ったよりも派手にやり過ぎた感はあるが、別に問題無いだろう。
ただ、終わりはまだ先のようだ。
無言のまま二人を遠くから見詰める、威圧を放つ天桜の長。
離れていても伝わってくる、ぴりぴりとした感じが。
「よくもやってくれたな、日来長。まさかお前までも宿り主だとは思ってもいなかったよ」
「そりゃあどうも。で、いよいよ大将のお出ましってわけか」
「解放場によって解放出来無かった。ゆえにこの手によって罰を下す」
「おいおい、俺ならまだしも神人族の奏鳴に手を掛けたらお前も同じ罪人になるぜ?」
「気にするな。手に掛けるのは私ではない」
「気を付けろセーラン、何か来る!」
遠く、直線上に立っている央信の異様な気配に何かを感じ取った奏鳴は忠告する。
央信は人族であるが、人族ならぬ気配がした。
不気味で嫌な感じの気配。
央信の背後からそれは現れ、周囲の者達をぞっと恐怖に震え上がらせた。
黒く、おぞましい力。
「何故、力の弱い人族が治める黄森が世界から恐れられ、神州瑞穂の中心的存在となったか教えてやろう」
空間に伸びる無数の手。
セーランを襲った黒い手と同じものが、央信の背後に現れた。
何かを掴もうと閉じては開き、閉じては開きを繰り返している。
央信の周りを囲むように、左右に広がっていく。
「やばそうな雰囲気だな」
「神……ではな
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ