高みに上らせるは鳳と月詠
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どうやら、こんな状況であるのに眠ってしまったようだ。
「雛里、俺はお前に何か返せるかな」
声を押さえて、ゆっくりと掛けられたその声に顔を上げると目が合った。
ドクンと心臓が跳ねて、胸が締め付けられる。
想いを全て吐き出してしまいたい。そんな衝動が沸々と湧き上がり、口から突いて出そうになった。
それでも、それは今じゃない。
どうにか呑み込み、彼の胸に顔を埋める。
「たくさん貰ってますから、おあいこですよ」
一つだけ選んで想いを伝えると、彼は小さく笑って、
「やっぱり雛里には敵わないなぁ」
少しだけきつく抱きしめていつも通りの言葉を私にくれた。
今はまだこれでいい。
ゆっくり進んで行こう。
この人が壊れないように。
しばらくして、彼からも静かな寝息が聞こえ始めた。その表情は凄く安らかで、私の心に安心を齎した。
ずっと、何があろうと傍にいますから。
心の内で呟いて、彼の温もりに包まれたままいると、いつの間にか私も眠りに落ちていた。
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