第二章
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第二章
そんな話をしているうちにダンスがはじまった。けれどおいらは最初は動かなかった。今踊っているのは最初からカップルで来ている奴等だけだ。おいらみたいなナンパ野郎はまだだ。今はその目を動かして獲物を見る。その撃墜するのに相応しい相手をだ。
「誰かいるかい?それで」
「よさそうなのは」
「今探してるんだよ」
まずはこう答えた。
「そうだな。今は」
「いたかい?」
「相手が」
「ああ、あの娘だな」
目に入ったのはブロンドを長く伸ばして青い強い目をした背の高い娘だ。ちょっとばかり顎の形がはっきりしてるがそれでも顔立ちは整っている。それに。
「この前小柄な娘をゲットしたしな」
「今度は背の高い娘ってわけか」
「それでなんだな」
「ああ、そうさ」
また仲間達に笑って言ってやった。
「そういうことさ。それじゃあな」
「逆に撃墜されたりしてな」
「あえなく振られたりな」
「振られたら次さ」
これがおいらのポリシーだ。
「次の娘に向かってやるさ」
「へっ、じゃあ俺もそうするか」
「ああ、俺もな」
「俺もだ」
仲間達はそれぞれ別れてそれぞれの獲物に向かった。いかしていかれたロックンローラーは今日もこんな調子だ。そうして相手の前に来てだ。
白いドレスもポニーテルの赤いリボンもいい。マジでいけてた。その娘に。
「一人かい?」
口元に笑みを浮かべて言ってやった。
「今は。どうなんだい?」
「一人だけれど」
するとだった。女の子にしては随分と低い声で思わせぶりに笑いながら答えてきた。
「だったらどうするのかしら」
「一人だったら二人になればいいさ」
おいらは少し安っぽいシャングリラの下で言ってやった。パーティーでもハイスクールのパーティーの場所じゃシャングリラっていってもこんなものだ。
「それでどうだい?」
「二人ね」
「一人はあんたで」
「それでもう一人はあんたね」
「そういうことさ」
ここでまた笑ってやった。
「それでどうだい?」
「そうね。乗ったわ」
思わせぶりな笑みはそのままだった。
「それじゃあそれでね」
「踊りはいけるよな」
「勿論よ」
こう返してきた。
「そういうあんたは」
「マイケル=ジャクソンを抜くぜ」
スリラーのあいつだ。あれはマジで凄いと思う。
「そのうちな」
「言ったわね。じゃあ私はね」
「ジェネット=ジャクソンかい?」
「ダイアナ=ロスよ」
それだという。お互い白人なのに笑いながら黒人の話をする。実際おいらは黒人は嫌いじゃない。黒人のツレも随分といるしジャズとかゴスペルも好きだ。逆に白人でも嫌いな奴はいる。おいらとしちゃ人間の中身の方がずっと大事だ。踊ってみてもホテルに一緒に入っても黒人の女の子もいいもんだ。
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