序章 手を取り合って
第3話 闇の書より愛をこめて
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視界が暗転した。
◇
もう、何年も前の話。
ボクは、9歳の誕生日を迎えようとしていた。
前日の6月3日にわくわくしながら、眠りにつく。
ベッドにはいつものように父が側にいる。
母はボクを産んでまもなく亡くなったらしい。
男手一つで育ててくれた父。
いつも優しかった父のお蔭で、ボクは母親がいなくても寂しさを感じることはなかった。
その日、真夜中に突然身体を揺さぶられて目が覚めると、そこには――血まみれでボクを庇う父が居た。
目の前の化け物に、あわやボクも殺されそうになったとき、『夜天の書』が起動した。
ボクは、誕生日に肉親を失い、新たな家族を得たのだった。
家族だけではない。
いままで、なんとなく知らない知識があることを知ってはいたが、『夜天の書』が起動したとき、思い出したのだ。
その記憶とは――原作知識。
使い方次第で、エースにもジョーカーにもなれるカードだった。
原作知識を得ることで、自分の状況を再認識できた。
ボクは、リリカルなのはの「八神はやて」に酷似している。
「夜天の書」が起動し、その主となった。
住んでいる町は「駒王町」、とすれば、この化け物は「はぐれ悪魔」の可能性が高い。
はぐれ悪魔は、瞬く間にシグナムに切り捨てられた。
安全を確保したうえで、彼女たちは、誓いの言葉をつむぐ。
とまどいつつも、ボクは彼らの主になることを受け入れた。
凄惨な現場にも係らず意外と冷静に思考することができた。
いや、混乱が極みに達していて、逆に冷静になることができたのかもしれない。
父が殺されたことを、現実として受け入れられなかったのだろう。
都合のいいことに、『闇の書』と呼ばれる原因となっていた防衛プログラムのバグは修正されており、デメリットなしで、フルスペックの『夜天の書』を使用できた。
完全体といえる夜天の書の主にボクはなったのである。
これが、リインフォースが生存している理由だ。
さらに、ボクには魔法の才能があって、リインフォースにヴォルケンリッターという心強い味方が傍にいた。
魔力も多すぎて測定不能らしいし、身体能力にも自信がある。
これが、「転生特典」というやつなのかもしれない。
◇
目が覚めたら、朝だった。
あれ、たしかシャマルのクッキーを食べたところまでは覚えているんだが。
食べてそのあと、目の前が真っ暗になった。
ゆっくりと起き上がると、そこには心配そうに看病しているリインフォースが居た。
「マスターが目覚めました!」
彼女は大声をあげると、ばたばたと音がして、人が近づいてくるのを感じる。
状況を確認すると、ボ
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