第T章:剣の世界の魔法使い
剣技の世界
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『ルオォオオオオオ―――――ッ!!』
ヒースクリフ……いや、かつてヒースクリフであった『ソレ』は、おどろおどろしい方向をとどろかせた。
闇の鎧に覆われた、巨大な影でできた異形。
「何だあれは……」
キリトが呟く。
「……恐らく、プレイヤー達の負の感情が暴走したのでしょう。負の心意は大きい破壊の力をもたらしますが、同時に暴走しやすい。ヒースクリフ……茅場卿は、自ら集めた心意に飲み込まれてしまったのです」
ドレイクが冷静に答えるが、彼の額には汗が浮いていた。SAOのリアルな感情表現が表したその表情は、彼もあせっていることを如実に伝えていた。
『ルオォオオオオオ―――――――ッッ!!』
闇の化身が、剣と一体化した右手を振るう。とたん、今までとは比較にならない規模の闇の波動が打ち出され、《紅玉宮》のフィールドを掻き消した。
「うわぁぁっ!?」
プレイヤー達のすぐ横を通過した闇の斬撃に、攻略組が悲鳴を上げる。
「ドレイク!!どうすれば……」
悲鳴を上げるシェリーナ。ヒバナのHPゲージは、もう尽きかけていた。これ以上戦いが長引けば、彼女は死んでしまう。それに、自分たちの敗北は即ち、このSAOというゲームにとらわれた全てのプレイヤーの死を表していた。
負けるわけにはいかないのだ。絶対に。
「……いちかばちかです」
「何だ、何か方法があるのか!?」
絞り出すように言ったドレイクを、キリトが問い詰める。
「あります。しかし、かなりの危険が、キリトさんに迫る方法となります」
「良い!皆を救えるなら、俺一人がどうなったって――――」
キリトが二刀を握りしめる。ドレイクは、静かにそれを見つめると、分かりました、と言った。
「心意に取り込まれたヒースクリフに打ち勝つ方法……それは一つ。キリトさんも、心意を暴走させるのです」
「何っ……」
さすがに予想外だったようで、キリトが瞠目する。
「もっとも、負の心意を暴走させたところで、何も起こりません。キリトさんが解放するのは、正の心意……すなわち、《希望》。この場に、このSAOという『異世界』にとらわれた全ての人たちの願いを、開放するのです」
「……わかった。やってみる」
「キリトさんは、全ての人たちを、信じてください」
頷いたキリトが、目を閉じる。
「……みなさん、願ってください!キリトさんの勝利を!」
ドレイクが攻略組に呼びかける。彼らも頷き、目を閉じる。
そして、光が集まり始める。やさしい、白い輝き……魂を込めた《祈り》が、《願い》が、《希望》が、寄り集まって、キリトに流れ込んでいく。
シェリーナも、目を閉じる。思い描くのは、初めて出会った頃のキリ
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