第一章
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第一章
恋のGO GO DANCE!
まずった。おいらとしたことが。
何でこんな間違いをしたのか。自分でもわからない。
「何だよ、御前そんな趣味があったのかよ」
「意外だな」
「ははは、けれど合ってるよな」
今でもこんな風に囃される。それを聞くのがたまらなく嫌だ。思い出す度に酒がまずくなる。甘いカクテルも薬みたいに苦くなっちまう。
「御前にはな」
「それは嫌味か?」
「いや、事実を言ってるんだよ」
こうからかって返される。
「事実をな。それでどうだったい?」
「あっちの味はよ」
「禁断の味はな」
「黙ってろ」
思わずこう言い返すおいらだった。
「あんなことは思い出したくもねえよ」
「おやおや、これは」
「重症だね」
何でこんなことになったのか。あの夜からだった。
おいらはあの時ハイスクールのパーティーに出た。自慢のレストアした車をワックスまで使ってピカピカにしてから。それでパーティーに向かった。
服も一張羅を出してトランクスもおろしたてだ。髪だってばりばりにリーゼントに決めてやった。もう向かうところ敵なしって感じにして出た。
そこでおいらのダンスを見せるつもりだった。そっちには自信がある。
ツイストジルバにマンボも何でもだ。それで戦いの場に出た。
ドリンクにオードブルを楽しみながら仲間達に話してやった。今日の抱負をだ。
「撃墜してやるぜ」
「へえ、ベトナムにでも行くのかい?」
「もうあそこはチャイナとの戦争も終わったぜ」
「今はドミニカだろ」
「海兵隊にでも入るのか?」
仲間達はおいらに笑ってこう返してきやがった。丁度この頃我が合衆国がドミニカに殴り込みをかけた。何かあのレーガンって大統領は言うのは勇ましいが案外動く時は少ないみたいだって思っていたらこの時はしっかり動いた。それがおいらには少し以外だった。
そして海兵隊。これは冗談じゃなかった。
「おいおい、リーゼントは海兵隊でもできるのかよ」
「ああ、まず無理だろうな」
「それこそ軍曹殿が出て来てな」
「バリカンだぜ」
仲間達はまた笑って言ってきた。
「それでアナポリスみたいにだな」
「丸坊主だよ」
「仏教の坊さんになったみたいにな」
「これはおいらのポリシーなんだよ」
その自慢のリーゼントをわざわざ指し示して言ってやった。
「これがないと終わりなんだよ」
「じゃあ海兵隊もなしか」
「マリーンも」
「トラックの運転手になってやるさ」
それがおいらの夢だった。
「プレスリーになるんだよ」
「へえ、精々事故は起こすなよ」
「ジェームス=ディーンにはなるなよ」
「スターにはなりたいがな」
何でトラックの運転手になりたいかっていうと
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