金字塔のデストロイヤー
第16話
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すから」
「そう言えばそんな制約が悪魔にはあったっけ。交わした契約は必ず履行しないといけないんだっけ」
「そうですよ。だから質の悪い悪魔の場合、契約を交わす時に注意しないといけないんですよ。一番良いのは契約書を用意する事ですね。これなら両者が裏をかこうと努力出来ますから」
「いやいやいや、裏をかこうとするのは間違っているぞ」
「決められた条件下で最大限の結果を残す為の努力を怠るは堕落です」
本来の話から多少ズレて来たので軌道を修正する。
「とりあえず、僕は精神的に不安定になった事が原因で悪魔に転生しました。いくら人間に戻れるからと言っても正規の神父やエクソシストに戻る事は出来ないでしょうね」
「それでも今回の様な特例として復帰出来るんだ。今の内に何かやっておきたい事をやった方が良いんじゃないか?」
「やりたい事ですか」
今だからこそ出来る事となると、アレしかありません。ですが本当に良いのでしょうか?
「主もそれ位の事は許してくれるはずさ。明日は私達はゆっくり休ませて貰おうと思うからな」
「……ありがとうございます。すみませんが留守を任せます」
翌日、僕は、僕が拾われた教会に足を運んだ。今までは悪魔だという事でどうしても足が進まなかったけど、今は例外的とは言え正式なエクソシストだ。それでも緊張しながら教会の扉を開く。そこにはちょうど主への祈りを捧げていた神父様が居られた。扉の開く音に気付いて神父様が振り返って顔をあわせる。記憶よりも皺が増え、身体の方も少し痩せた様に見えるけど、それでも元気そうな神父様を見て、自然と涙がこぼれる。
「……もしや、祐斗か?」
「はい、神父様」
「そうか、元気にしていたか」
「はい」
「大きくなったというのに、今の方が子供らしいな」
「ここの所、色々と自覚してしまって」
「まあよかろう。それから、おかえり。祐斗」
「ただいまもどりました」
涙を零しながらも、笑顔で返事をした僕を神父様は優しく迎え入れてくれました。このような機会を設けてくれたゼノヴィアさん達に感謝と神の御加護を。
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