序章 手を取り合って
第1話 だめっこどうぶつ
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大分年をとっているが、この場で問題にするものはいなかった。
◆
「おめでとうございます、主はやて」
帰宅したはやて、シグナム、ヴィータの三人を、青い大型犬――にみえる狼が出迎えた。
シグナム戦の初勝利を宣言するはやてに、ねぎらいの言葉をかけたのだ。
「ありがとう、ザフィーラ」
照れくさそうに、喋る狼――ザフィーラに言葉を返すはやて。
そのやりとりをザフィーラの後ろで、微笑ましそうに見つめていた女性が次いで口を開く。
「おめでとう、はやてちゃん」
「シャマルも、ありがと」
おっとりしたお姉さん――シャマルにも照れながら返事をする。
「でね。そんなはやてちゃんのために、今日は私がとびっきりのごちそうを用意したの!」
瞬間、空気が死んだ。
◇
はあ、と内心ため息をつく。
後ろでは、よよよと泣き崩れるシャマルがいる。
あの衝撃の発言のあとで自作の料理を食べさせた結果があれである。
本人は自信作だと言っているが……。
家族全員からダメ出しされ、落ち込んでいるようだ。
まあ、いつものことだけれど。
シャマルさんのポイズンクッキング、マジしゃれにならねえな、と独り言ちる。
(というかごく普通の食材で毒物を作るとかビックリだよ)
なんというだめっこどうぶつ。残念なお姉さんである。
今は、改めてボクが作り直した夕食をみんなで食べ終わった後だ。
ちなみに、シャマルは罰として自作の毒物――本人曰く創作料理―――を食べさせた。
でも、本人にとってはおいしいらしく、あまり罰になっていない。
ザフィーラは、シャマルを止められず面目ないと謝ってきた。
どうして惨劇を止められなかったのか聞いてみたところ、日向ぼっこが気持ちよくて眠っていたからだそうだ。
それでいいのか盾の守護獣。
「はやてー、アイス食おうぜ」
夕食後のひとときをまったりと過ごしていると、ヴィータがボクを呼ぶ声が聞こえた。
「はいはい、デザートでさっき食べたでしょ。だからダメ」
ばっさりと切り捨てる。
ぶーたれるヴィータがかわいらしいが、ダメなものはダメだ。
アイスの食べ過ぎは体に悪いからね。
だって、昔アイスの食べ過ぎで何度もお腹を壊したから――ヴィータが。
自業自得である。
「今日の模擬戦、ヴィータ姉の目からみてどうだった?」
「うん?シグナムに初勝利したやつか」
「そうそう」
ソファにごろんとしながら、ヴィータに問いかける。
今日のシグナムとの模擬戦。
初めてボクはシグナムに勝利した。
稽古をつけてもらって
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