第9話 ヒステリアモード
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カを売ったんだ。今更かなめを狙う奴が来ようと変わらないさ。それに一般高校じゃ――」
「お、お願いお兄ちゃん! それ以上言わないで!」
向かい合ってから目を合わせながらずっと話していたのだが、かなめは初めて目を逸らし、顔を赤くしながら両手で両耳を抑える。
悪いな、かなめ。今の俺はヒステリアモード。
こういう状況下でも平然と言えてしまうのが今の俺なんだ。
いつもは言葉が足りなかったり、照れくさくて言えないことも、それらを含めて今言ってやるよ。
俺は右手でかなめの顎に手を置き、真剣に思いを伝えるために俺の目線に合うよう顔をあげ、顔を少し近づけ目をしっかり合わせる。
その際に合気道の要領で、動揺しているかなめの動きを誘導し、耳を押せえてる手を離させる。
「お、お兄ちゃん! ちょっ、今こんなことされたら……!」
「――かなめがいないと俺が困る。……いいや。学校じゃなくったってかなめがいないと俺は困ってしまう。そういう自信があるよ。だから――俺と一緒にいてくれ。たとえかなめが戦えなくなろうと、ね」
『たとえかなめが戦えなくなろうと』……この意味についてはおそらくだが……
昼間かなめが俺の技について真剣に聞いてきたのには、俺のあの時感じた以外の理由がもう一つ隠されていたんだと思う。
それは――いずれ来る先端科学刀(ノイエ・エンジェ・エッジ)の使用出来なくなってしまった時の為の戦う術の開発。
かなめはアメリカには死んだと思われている。
しかし先端科学兵装はアメリカが作っている。
あの銃すらおもちゃ扱いしているサードが、刀をデザインとした先端科学兵装を作ってくれと言ったら、さすがにアメリカも怪しむだろう。
それどころか、かなめが使用している武器を頼んだだけでも怪しむかもしれない。
だからかなめは、今使ってる先端科学刀を失えば替えがきかないのだ。
いや……もしかしたら俺に分からない燃料なんかを使っていて、それすら補充できずに使えなくなっている可能性だってある。
そんな事を考えている時に『強くなる』ヒステリアモードの事を聞かされて、迷わないわけがない。
しかしたとえ強くなっても、サードのところでも必要なければ、俺と一緒に転校した一般校でも必要ない。
なら、俺はこの言葉は絶対に言ってやらなければいけない。兄として。
さっきも言ったように『かなめが必要だ』と、
「大丈夫だから。もしかなめが危険なことが起こったら、俺が守るよ。絶対に」
ヒステリアモードになれなかったとしても、俺たちと一緒に戦えなくなったとしても『守ってやる』と。
「――っ……こ、こんなの……反則……だよっ――!」
俺が言うことを言った次の瞬間。
かなめはそう呟き、そして――
「……だ、ダメっ―
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