第9話 ヒステリアモード
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…サードともその時に縁が切れるものだと思っちゃってたけど……転校の準備をしてる時に『部下としてはもう一緒にはいられないけど、兄妹としてだったらあってもいいんじゃないか?』って現れてから言われて、それでサードと一緒にお兄ちゃんを追いかけてきたの」
……かなめの意見を否定するわけじゃないが、サードのセリフは実際はもっと砕けて乱暴な言い方だったんじゃないか。そんなこと言ってるサードなんて想像できないぞ。
だが、今のかなめの話しで大体の事が分かった。
「なるほどね。かなめが悩んでいることは大体分かったよ」
「えっ……でも、まだ話は途中までし……んっ」
「今までの話しで十分さ。あとはかなめの事を見ていれば、自然と分かるよ」
驚くかなめの唇に――これ以上話さなくていいよ、と言う意味を込めて右の人差指を優しく置き言葉を止める。
「かなめは爺ちゃんから『強くなる』ヒステリアモードの事を聞いた後、こう考えたんだね。『あたしにも強くなるHSSがあるなら、再びサードの兵に戻れるかも』って」
「……!」
「そしてそれと同時にかなめは気づいたんだ。『自分は……ジーフォースはすでに死んでいる』って。だからサードの元へ――兵、または部下としては戻れない。それどころか戻ったらアメリカに自分が生きているのを公言するようなものだ」
正直、かなめが本当にこう思ったのかは分からない。そんな確証も根拠もない。
けれども俺はヒステリアモードによって導き出された推測を続ける。
これより先は間違っていたとしても、俺が言ってあげないといけないと思うから。
「そしてそう考えたら再び『なら自分はどのように生きればいいのだろう?』って思ったんだね。『遠山かなめ』はどうやって生きていけばいいかって」
俺が指を置いた状態でかなめが首を縦に振る。
なので俺が手をどけると、
「……そうだよ。凄いね、さすがお兄ちゃんだ」
関心と恥ずかしさが混ざったような顔でそう言ってきた。
「――ならかなめ。俺と一緒に探して行こう。丁度いいことに一般校に転校したんだ。生き方だって見つかるさ」
「……うん。ありがとう、お兄ちゃん。でも……」
「……気にしなくてもいいよ。武偵をやめても、かなめは大切な妹だ。もしアメリカにバレて襲ってきたとしても、戦ってやるさ」
「――っ!」
『なんで気づいたの?』という顔で、少し泣きそうになるかなめ。
気づかないと思っていたのかよ。バレバレだ。
『自分がいない方が、お兄ちゃんは一般校でうまくいける』って考えてることくらい。
そう。かなめは一般校に通う俺を、自分の戦いに巻き込むわけにいかないなんて考えていやがったんだ。
「だからかなめ。二度と『自分はいない方が良い』なんて考えないでくれ。俺だってアメリカにケン
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